日本株の値動きが激しくなってきた。日経平均株価は11月28日に1万5700円台を回復。5月22日の年初来高値を更新したことで、高値警戒感が強まっている。加えて、米国の金融政策についての見方が揺れていることも一因だろう。雇用統計やISM(米供給管理協会)指数など、米国経済の改善を示唆する指標の発表が続いている。一時期、来年以降との見方が強まっていた米国のQE(量的緩和)縮小について、やはり年内開始ではないかとの見方も再燃。綱引き状態となっている。
米国のQE縮小は、日本株にとって悪材料であり、好材料でもある。悪材料は、いわゆる過剰流動性の縮小。米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)から供給されるマネーが絞られることで、米国のみならず世界中の金融市場が悪影響を受けよう。5月23日の日経平均急落(前日比1143円安)は、まさに、それが懸念された故のものであった。
一方、好材料は二つある。一つは、米国がQEを縮小できるほど、FRBが景気回復に自信を持った証しになること。米国経済の回復が日本企業にプラスとなることに、異論はないだろう。もう一つはドル高円安が進展するとみられること。日米共に政策金利がゼロ金利状態の中では、QE格差が為替レートの重要な決定要因となろう。ドル高円安による日本企業の業績改善が期待される。
足元の日本株の乱高下は、金融相場から業績相場に移行する覚悟が問われているのではなかろうか。筆者は業績相場への移行を楽観的に見ている。デフレ脱却が鮮明になってきたからだ。