4月下旬以降、アメリカの株価が上昇を続けており、これに引かれて日本の株価も上昇している。アメリカの株価上昇は金融機関のストレステストの結果が予想ほど悪くないとの観測によるものだが、つぎの点に関する検討が必要だ。第一に、アメリカの景気底割れが回避できたと考えてよいだろうか。第二に、仮にアメリカの景気が回復するにしても、それが日本経済にプラスの影響を与えると考えてよいだろうか。

 これらについて判断するために、GDP統計は重要な情報を与えてくれる。そこで、4月29日に発表されたアメリカの09年第1四半期(1月~3月)のGDP速報を検討してみよう(【表1】参照)。

【表1】アメリカ実質GDPの推移(季節調整済み対前年比、年率換算値、%)
資料:U.S.Department of Commerce

 まず、実質GDPの対前期比成長率(年率)は-6.1%で、08年第4四半期(-6.3%)とほぼ同じ値だった。08年秋から始まったアメリカ経済の急速な収縮が、この期も続いたことを示している。

 ただし、需要項目別に見ると、個人消費支出がプラスの伸びに転じたことが注目される。これが重要なのは、個人消費支出はGDPの約7割と大きな比重を占めているからだ。とりわけ自動車などの耐久消費財が、前期の-22.1%という大きな減少から一転して、9.4%の伸びになったことが注目される。

 全体のGDP成長率がマイナスになったのは、投資支出が大きく減少しているためだ。住宅も設備投資も、-38%程度ときわめて大きな減少を示している。しかも、減少率は、08年第4四半期よりも拡大している。