伊藤忠商事が機械カンパニーなどの堅調を背景に、今期、史上最高益を更新する見込みだ。資源・エネルギー分野よりリターンが低い“非資源”分野で稼ぐ戦略をどう描くのか。

 2012年3月期、13年3月期と2期連続で住友商事の純利益を抜き、“新御三家”の座を手にした伊藤忠商事(図(1))が、14年3月期に史上最高益の更新を見込む。

 昨秋の第2四半期決算時点で、純利益の計画に対する進捗率がすでに57%を超え、中間決算として最高益を記録。早い段階で「史上最高益だった12年3月期の3005億円は超えられる」(関忠行CFO)見通しが立っているという。

 注目されるのが、過去数年間大手商社の好業績を牽引してきた資源・エネルギー分野からの利益が、資源価格の下落により落ち込んでいるところを、それ以外の“非資源”分野がカバーしている点だ。

 中間決算の資源・エネルギー分野の利益が375億円と前年同期と比べて18%減少している一方で、食料、繊維、機械、住生活・情報といった部門から成る非資源分野の利益は1223億円と同31%増になっている。全体の純利益に占める資源非資源の割合は1:4と、資源価格が高騰していた数年前からは様変わりした形だ。

 中でも前年同期と比べて63%もの増益となったのが、実はこれまで社内であまり日の目を見ることのなかった機械カンパニー。「一時は看板を下ろしたいほど足を引っ張ってきた」と岡藤正広社長も頭を悩ましてきた部門だけに、好業績が与えるインパクトは決して小さくない。

 何が業績を好転させているのか。自動車を主とした輸送機などを扱うため円安の効果も大きいが、同時に、これまで進めてきた事業の“選択と集中”も功を奏している。これは機械カンパニーのみならず、全社を通して行われている。