英語版の「COOK PAD」。美しい写真が満載である上、日本が誇る「キャラ弁」のレシピなどが多数紹介されているのも楽しい

 料理を作る際には「クックパッド」を参考にするという人が多い。今やレシピ数約162万点、利用者は2000万人を超えるという日本最大の料理サイトだ。このクックパッドに2013年8月、英語版の「COOK PAD」が誕生した。

 英語版の特色は、野菜や肉、魚、米などのカテゴリー別・キーワード別で検索できる上、「みそ汁」や「肉じゃが」などの基本レシピ25品を翻訳して掲載している点だ。

「国際的な展開については、数年前からチャレンジしていましたが、その一環として今回の海外版スタートに至りました。クックパッド全体では、160万点近いレシピがありますが、海外版に関しては約8700点のレシピを登録しています(2013年12月時点)。アクセス数は毎月約1.5倍ずつ伸びている状況です」(クックパッド株式会社 国際サービス部長 金子 順氏)

英語版サイトは、無形文化遺産の登録前から公開

 もともと海外に暮らす人々にとって日本の家庭料理というのは、「興味深いものではあるが、ハードルの高い存在」(金子氏)であり、和食のレシピというのは、手に入りにくいものだったという。

「日本という国に興味を持ち、そのつながりとして和食に注目される方が多いようです。最近では、お子様向けの誕生日パーティなどでも、和食でもてなす機会が増えているようですね。閲覧される方は現時点で、アメリカやカナダ、イギリス、オーストラリアなど英語圏の方が大半です」(金子氏)

 中には、例えば「寒天の使い方」や「大根の代用食材」といった、食材に関するかなり詳細な質問も寄せられているようで、海外での和食への関心の高さがうかがえる。

 昨年12月、和食の魅力を世界に広く伝える、追い風ともいえる出来事が起こった。日本でも大きなニュースとなったように、ユネスコの無形文化遺産に「和食」が登録されたことだ。

 日本の伝統的な食文化が見直された格好だが、日本の四季が生み出す豊かな味わいや美しさに加え、栄養バランスに優れた健康食である点も、高く評価された。健康志向が高まる海外でも、和食人気にさらに弾みがつきそうだ。

 同社では今後、英語版「COOK PAD」のバリエーションをさらに豊富にし、3万件以上のレシピを提供していきたいと考えている。世界の和食ブームにどんな影響を与えていくか、楽しみなところだ。

(田島 薫/5時から作家塾(R)