未曾有の海運バブルから一転して、市況悪化で大氷河期に突入した海運業界。三光汽船が倒産したのに続き、商船三井の関連会社、第一中央汽船が経営危機に直面している。商船三井が150億円の資本を注入しただけでは足りず、取引先にも支援要請を始めた。要請を受けた造船所、船主には当惑の声が広がっている。
「昨年の夏まではシャープをはじめ家電業界を注視していたが、今では海運業界を最もネガティブに見ている」。企業の信用リスクを分析するクレジットアナリストは声を潜めて打ち明けた。
昨年11月以降、機関投資家から問い合わせが急増しているのが商船三井だという。海運不況のあおりを受けて、業績は急激に悪化。格付けはわずか1年のうちに2回格下げされ現在はA、方向性はさらに下げ余地のあるネガティブとなっている(日本格付研究所)。これに合わせて社債の調達金利は急上昇中だ(グラフ参照)。「今のマーケットに商船三井の社債の引き受け手はいないだろう」と続ける。
今期、商船三井の業績は2期連続の赤字の見通し。日本郵船、川崎汽船のライバル2社は黒字の見通しであるから一人負け状態だ。
自社の業績不振もさることながら、関係者が注目しているのが26.1%を出資する第一中央汽船(一汽)の経営不振である。
一汽の経営は、昨秋から逼迫し始めた。
もともと今期は190億円の最終赤字予想だったのが、11月末の公表で赤字幅は330億円へと拡大した。前期末の純資産は270億円であるから、このままでは債務超過に陥ってしまう。これを補填するため、商船三井が優先株を引き受けて150億円を注入することになった。
商船三井と一汽、系列の海運会社がそろって赤字を垂れ流しているのには訳がある。