しかし、役定・定年後のセカンドキャリア期は、キャリアの下降と離脱・近づく引退の時期にあり、挑戦的な目標が設定できないこともあり、仕事意欲の低下、やりがいが大きく低下する。さして期待のない仕事に回されると、自己無用感にさえ襲われる。

 役割や権限が縮小され、昇進・昇格など明日への希望や期待がもちにくい仕事や働き方の中で、何がシニアのモチベーションとなるのだろうか。

◇モチベーションは
[目的・目標の魅力]×[自己能力での達成の可能性]で高める

 通常、仕事のモチベーションの高さは、[目的・目標の魅力]×[自己能力での達成の可能性]で維持される。そのなかでも、目的・目標の魅力は、自分にとっての意味の持ち方で変わる。ファーストキャリア期のキャリア目標は、昇進・昇格などキャリアアップを目指し将来のために働く意味が大きい。だが、セカンドキャリア期の仕事は、役割や権限、給与がダウンする中で、従来とは違った働く意味、例えば、新たな挑戦ややりがい、組織貢献感、元の職場で働けるありがたさ・感謝の念といった、自分にとって何か個人的な働く意味、仕事の意味を見出すことが必要だ。

 一方、達成の可能性は、自分の能力の効果的な発揮でやれるかどうかによるが、あまり簡単すぎて誰でもできる手ごたえのないものだと、返って働く意欲は阻喪してしまうだろう。個人差はあろうが、すぐマンネリ化しないように、この点も自己能力に見合った“身の丈プラス”相応の努力を要する達成可能性・困難さが感じられるレベルの方がよいだろう。

◇出世・給料アップの喜びから自己充実・成長への喜びへ

 それでは、シニアのセカンドキャリア期のモチベーションはどのように開発すればいいのだろうか。端的に言えば、[外発的動機付け][内発的動機付け]にシフトすることだろう。外発的動機付けとは、昇進・昇格・昇給・達成表彰など外部評価による報酬のことだ。これは、キャリアの上昇を目指すファーストキャリア期に合うものだ。

 一方、シニアのセカンドキャリア期になると、昇進・昇格・昇給など外発的動機付け=外からの報酬の要素は殆ど縁がなくなる。この時期に見合う動機付けは、仕事目標との一体感、自分が誰かの役に立っているという自己効力感、そして仕事を通じた日々の充実感や自己成長を感じられるといった内発的動機付け=内なる報酬が優先してくる。今日、仕事があるだけでうれしいと思えるようになればいい。

 この報酬の意味については、個人の価値観とも大きく係わっており、単に解説で気付きを促してわからせるというレベルにとどめることなく、キャリアデザイン研修等で、これまでのモチベーションと今後のモチベーションを対比させ議論させるなど、仕事や働き方、生き方にもう一つの新たな意味を見出すレベルまで気付きを深めておくことが大切だ。

 ここがわかっていないと、その後ずっと仕事をやりながら不平・不満を漏らし、仕事・組織不適合の元凶になるからだ。

 今回は、シニアの戦力化の考え方と定年前後社員のやる気について考えてみた。次回11回目はシニア活用とヤル気を起こさせる職場の取り組みについて見ていきたい。