ケーブルテレビ最大手ジュピターテレコム(JCOM)では今年1月、親会社となったKDDI(au)出身の社長が初めて誕生した。新生JCOMはどこに向かうのか。
――そもそも、なぜKDDIがケーブルテレビ最大手のJCOMを買収したのでしょうか。
Photo by Takeshi Kojima
ケーブルテレビ市場は、数少ない成長産業の一つです。スマートフォンやタブレット端末など、映像を配信する「出口」がたくさんある中で、ケーブルテレビ業界はテレビを通じた出口しか考えてきませんでした。
もっと出口をたくさん用意すれば、有料放送自体のマーケットは大きくなります。動画コンテンツの市場といってもいいですね。この市場をきっちりと押さえることで、企業としてまだまだ成長できますし、成長させなければなりません。
そもそもKDDIでは、家庭まで固定回線を引きたいと考えていました。電柱まで回線が延びていても、それをお宅まで引き込むには、カネも時間もかかります。この「ラストワンマイル」を押さえたかったのです。
というのも、この領域はNTTが独占していたところです。また、スマホの普及によって、携帯電話のデータ通信量が急増しています。 家庭内の固定回線を利用してもらうことで通信料を減らし、携帯の「つながりやすさ」の向上を図りたいという思いもありました。 そのために、JCOMが必要だったのです。
――KDDIとJCOMとの間に相乗効果はあるのでしょうか。
まず、ケーブルテレビ加入者にauの端末を売ることや、auショップでケーブルテレビに加入してもらう「クロスセル」を実現しました。
さらに、固定回線と携帯の両方の契約を結んでもらうことで、利用料金を値下げする「auスマートバリュー」も展開でき、解約防止につなげることができました。
三つ目として、今、力を入れているのがコンテンツ配信です。実は、JCOMでは、75以上のチャンネルを抱え、月に1万超の番組を放送しています。地元のお祭りからハリウッドの映画まで、さまざまなコンテンツを調達、放送しているのです。