投資家の株式市場に対する不安心理は根強い。景気や企業業績の悪化がどこまでか、見極められないからだ。しかし低金利や世界的な経済対策への強い姿勢から、株式市場が一段と大きく下げるとも考えにくいだろう。
市場がすでに悪材料の多くの部分を織り込んでいると見られていることからも、長期投資の観点でバリュー(割安)株をジックリ狙っていきたい。
割安株を探す代表的な指標はPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)だ。PERは収益面、PBRは資産面で測ったバリューとなる。
筆者は、このうちPBR投資をベースに割安株を選ぶべきと考えるが、PBRも完全に信頼できると言い切れない。資産の時価が下がれば、減損が起こる。
また、EPS(一株当たり利益)の低下は企業の内部留保を引き下げるが、赤字企業は資本を毀損することになり、BPS(一株当たり純資産)も低下する可能性がある。
そこで低PBRだけでなく高CFO銘柄を選別する手法を提案する。CFOは営業キャッシュフロー(CF)÷総資産で求める。営業CFは予想営業利益に実績減価償却費を足して求める。
CFOは企業の資産効率性や収益性を見るものだ。PBRが低いことで、資産面で割安であることをとらえ、さらに資産効率性がよい企業をCFOでとらえるのだ。
ところでなぜCFOに注目すべきか? 一般に効率性指標といえばROE(株主資本利益率)やROA(総資本利益率)が使われる。これらではダメか?
まずROEはROAに総資産÷株主資本を乗じたもの。総資産と比べて株主資本が小さければROEは高くなりやすく、財務健全性が弱い企業のROEがよくなってしまう。足元の景気後退場面では財務健全性が弱い企業は市場では厳しい評価となるだろう。