権力が上司自身をダメにする
上司のリーダーシップが「権力」から「魅力」へとシフトしてきたことは、これまでの話でご理解いただけたと思います。ここでは第1回・第2回・第3回の締めくくりとして、権力型のリーダーシップが具体的にどのような弊害をもたらすかについて、簡単に整理しておきます。
【権力が上司にもたらす弊害】
・組織内の人間関係が損なわれ、上司が孤立してしまう
・正しい情報が入らなくなるため、誤った意思決定をしてしまう
・部下の監視や指示に、上司の時間や労力が奪われてしまう
・ストレスによって、上司の心身に悪い影響を与えてしまう
権力を振りかざすことで、部下はあなたに従うかもしれません。しかし、その反動であなた自身が失うものも多いのです。
「いいから俺の言った通りに動け!」
そんな頭ごなしのメッセージを押しつけられた部下は、どう感じるでしょうか。自分の立場や言い分を考慮してもらえないため、上司への不信感を募らせていきます。
上司にもその部下の感情は伝わります。権力を使った反動で部下に不信感を持たれているかもしれないと、不安を抱きはじめます。そうなると、部下が楽しそうに話をしていても、「俺の悪口を言っているんじゃないか」といった猜疑心が芽生えはじめます。それでも部下に仕事を頼まなければなりませんから、さらに強い権力で部下を縛りつける。そして、部下の不満はいっそう強まっていく。
これが、権力型リーダーシップが人間関係にもたらす悪循環の典型です。
また、権力型リーダーのまわりには、リーダーに都合の悪いことを言わない社員が増えます。そのため、正しい情報や率直な意見が入らなくなりますから、現状認識ができず、意思決定を誤らせることにもなります。