2014年、確実にCIOに求められることは、不確実性への対応ピーター・ソンダーガード
ガートナー
シニア・
バイス・
プレジデント
リサーチ部門
最高責任者

 今年の1月初旬、同僚のデーブ・アロンが率いるチームが、ガートナーで毎年実施している「CIOアジェンダ」のサーベイ結果を発表した。

 今回のサーベイで明らかになったのは、次世代のエンタープライズIT、つまり我々ガートナーがデジタル化と呼ぶ“デジタル産業経済” の到来に対し、CIOの備えが十分ではないと感じているということだ。

 デジタル時代にリーダーシップを発揮すること、また、それと同時にITインフラの中核やデジタル化に必要なケイパビリティを刷新する必要性を前にして、CIOはしばしば圧倒させられると答えている。

 調査結果によれば、CIOの51%は、「この変化は、自分たちの許容範囲を超える速さで進行している」と危惧している。また、CIOの42%は、「これから直面する課題に対処できる人材がいない」と感じているようだ。

 この調査は2013年の第4四半期に行われ、世界77ヵ国・2300人以上のCIOの意識を盛り込んでいる。クライアント向けに発表されたその概要では、効率化とデジタル化という2つのゴールを目指すCIOの舵取りが必要だと強調されている。

 調査結果から浮かんでくるテーマは、2013年10~11月に世界各国で開催された「Gartner Symposium/ITxpo」で討議された多くのトレンドを反映している。次回、このシンポジウムはドバイで開催を控えている。

エンタープライズITは「第3の時代」へ

 デーブらの分析では、エンタープライズITの「第1の時代」には、新しい“コト”にITがどれだけ役に立つかに焦点が当てられた。例えば、スピードや規模の大幅改善を実現するためにオペレーションを自動化したり、従来までは決して知る機会のなかった情報をビジネスリーダーに提供したりすることだ。

 この10年間にあたる「第2の時代」は、エンタープライズITが産業化されることで、信頼性も高まり、予測可能で、オープンで透明性が高まった時代である。この時代は、組織に真の利益がもたらされた一方で、厳格な予算管理とリスクを好まない風潮が蔓延したため、イノベーションの入り込む余地がなかった。

 エンタープライズITの「第3の時代」に入ると、「Nexus of Forces(力の結節)」(「クラウド」「モバイル」「インフォメーション」「ソーシャル」という4つのテクノロジーの強固な結び付き)や「モノのインターネット(Internet of Things)」といったテクノロジーや社会のトレンドにより、あらゆることが変化している。デジタル化により、ビジネスの速さ、安さ、広がりを実現するための手法がテクノロジーを取り入れて進歩したばかりか、情報とテクノロジーによりビジネスは一変し、競争の原理を変え、時には新たな産業も創出されている。

 レポートでは、何年間も抱えていた課題すべてに加え、デジタル化がもたらす脅威の波にCIOが直面していると指摘している。あらゆる地域、あらゆる業界でデジタル・ディスラプションが起こり、デジタル化は、戦略やリーダーシップ、組織、人材、資金調達など、ありとあらゆる事柄に対して見直しを迫っているのだ。