一方、横軸の「自律」とは自らを律することを指します。非常に抽象的な概念ですが、他者と自分との関係で見ていくとわかりやすくなります。最初は自分で仕事をコントロールできないので、上司や周囲に言われた通りちゃんとやる「他律」の段階がスタートで、やがてある程度任されるようになり、自分で仕事をコントロールしていく段階が「自律」です。自律の段階では自分のやりたいことや究めたい分野を見つけ、自分なりのやり方を追求していく必要があります。

 その先には自分のやりたいことと組織や集団の方向性を高い次元で統合し、実現する「統合律」の段階があります。これは自分も活かしながら他者も活かし全体の最適化をはかろうとする活私奉公の段階です。

子どもの組織は
一流を目指す個人を「変人」扱いする

 ほとんどの人は、マトリックスの左下の丁稚からキャリアをスタートし、上司や先輩の指導のもと一人前の段階に上がります。その後にある程度、業務を任されるようになり右側の自律の方向へ動くのですが、一般的な日本の会社の場合、ここで大きな問題に直面します。

「自分はこれをやりたい」と強く自己主張をすると周囲から潰されてしまうため、多くの人はそれを表に出さないのです。そして、自分なりの思考や仕事のやり方を主張し、周囲との摩擦を乗り越えて仕事を推進する経験をほとんどしないまま、管理職的な仕事に就くことになります。すなわち、自律の段階をしっかりと経ないまま、統合律の役割を任されてしまうことになります。

 管理職の仕事とは自分の担当する領域で、自分がやるべきだと思う事、またはやりたい事と会社全体の方向性をうまく統合し、周囲を巻き込んで実現させていく仕事です。しかし、自分のやりたいことを主張し、追求するステップを踏まずに統合的な役割にスキップしてしまうと、自己主張で生まれる摩擦を乗り越える術を持ち得ません。