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オープンデータの実像

オープンデータで市民が市政に積極的にかかわる千葉市の取り組み

澤内真人 [日本オラクル 製品戦略事業統括本部 テクノロジービジネス推進本部 シニアマネジャー]
【第2回】 2014年3月18日
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他の自治体との連携でも中心的役割を担う

 「ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会(4市協議会)」は、佐賀県武雄市・千葉市・奈良市・福岡市の4自治体が中心となって設置した協議会で、平成25年4月に発足しました。4市のほか、様々な業態の民間企業、大学などが参画(2014年1月15日現在16団体)しており、これらが連携してビッグデータ・オープンデータの活用策を検討し、市民サービスの向上や産業の振興を目指しています。

 活動には、シンポジウムや「アイデアソン」の開催などが含まれています。アイデアソンは、「Idea(アイデア)」と「Marathon(マラソン)」を合わせた造語で、参加者が複数のグループに分かれ、テーマに対するアイデアを出し合い、それを練り上げていくことで、より優れたアイデアを生み出そうとする参加型のイベントです。

 また、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の知事、横浜市、川崎市、さいたま市、相模原市の市長で構成する「九都県市首脳会議」では、ビッグデータ・オープンデータのまちづくりへの活用や、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への支援など首都圏連合協議会で検討を行っています。

公開シンポジウムでアイデアコンテストの審査も

 ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会は、活動の一環として2013年11月10日に千葉市幕張で公開シンポジウムを開催しました。

 Open Knowledge Foundation Japan代表の庄司昌彦氏が基調講演に登壇し、「ビッグデータ・オープンデータで未来を変える-求められる活用のありか方-」というテーマで、市民サービスの向上などへの活用や、莫大な経済効果をもたらすことなどについて語りました。

 また、あらかじめ一般向けに募集されていた「アイデアコンテスト」の最終選考がその場で行われました。応募総数221件のアイデアの中から二次審査に進んでいた9件が公開プレゼンテーションを行い、最優秀賞には、『市内で流行している子どもたちの感染症の流行状況を可視化して注意を促す「子ども感染症進行マップ」』が選ばれました。

 このアイデアは、欠席届けとして学校に集まってくる家庭のインフルエンザ感染情報を、電話やFAXだけでなく、パソコンやスマートフォンなどからも受け付け出来るようにして、学校側の集計負荷を軽減しながら、集まった情報をオープンデータとして学校や家庭、教育委員会、保健所などあらゆる関係先で自由に活用しようというものです。

 情報は文字だけでなく、地図上に位置や流行の度合いを視覚的に示すことで状況把握はしやすくなり、具体的な行動につなげられるという、まさに、市民参加の協働型事業と言えるアイデアです。

 その他の主な受賞は次の通りです。

☆武雄市長賞/『「自転車走りやすさマップ」の拡充』
☆千葉市長賞/『「埋蔵金」はあなたの家に埋まってる~行政サービスの「コスト意識」を啓発し、ゲーミフィケーションによって継続的コミットメントへとつなげる~』
☆奈良市長賞/『SNS情報と観光アプリを融合した地域観光の活性化』
☆福岡市長賞/『危険回避アプリ』
☆審査員特別賞/『AED Expert Call』
詳しくは、ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会Facebookページ(https://www.facebook.com/bigdataopendata4city)

 特筆される点は、アイデアコンテストの応募総数211件のうち、個人が93件(団体128件)もあったことです。これは、多くの人が関心を寄せていて、市民サービスの向上や市民主体の街づくりへの期待が高まっていることを示しています。協議会の今後の活動に注目してみましょう。

 次回は、オープンデータの課題を取り上げます。

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澤内真人
[日本オラクル 製品戦略事業統括本部 テクノロジービジネス推進本部 シニアマネジャー]

国内システムインテグレータにて、ネットワークエンジニアとして大手通信キャリアのネットワーク設計・構築、また運用設計を支援。日本オラクル入社後は、データベースプロダクトマーケティング、「Oracle Exadata」の国内ローンチやビジネス開発を行い、2013年から公共・教育・医療分野においてテクノロジー製品に関するビジネス開発を担当。現在に至る。

オープンデータの実像

2013年6月にイギリスで行われたG8サミットで「オープンデータ憲章」が採択された。以来、世界中でオープンデータへの取り組みが活発化している。憲章に謳われた「政府及び企業に対して人々が説明を求める能力強化」、つまり情報の透明性の向上やデータへのアクセスを容易にすることによって、社会はどのように変わっていくだろうか。さらに、行政サービスの向上や新たなビジネスチャンス/イノベーションの創出への期待も高まる。グローバル先進事例を専門家が解説する。

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