世界にまだ存在する「ブルー・オーシャン」を求めて
――24.7億人のニーズを満たすチャンスは、足を運んで手に入れろ

中村 僕らがラストマイルと呼んでいる途上国の農村部・遠隔地に行けば行くほど、これらの課題は顕著で、それらのニーズはまるで満たされていません。そして、このニーズは、何十億人という人々のニーズ。これこそまさに究極の「ブルー・オーシャン」だといえます。

――なぜ、コペルニクはそうした途上国のニーズを細かいところまでつかみとれるのでしょう?

中村 シンプルな製品と、途上国で暮らす貧困層の人たちのニーズをマッチングし、ITと寄付の力を使って製品を届ける。それによって、貧困層の人たちの暮らしを直接改善する。それが、コペルニクの「しくみ」です。

 このしくみを回していくには、シンプルな製品、テクノロジーを常に探し、テストし、フィードバックをとる必要があります。その過程では、途上国の貧困層という「ブルー・オーシャン」に漂うニーズを丁寧につかみとる必要があります。

――では、企業などがこれからニーズをつかんでブルー・オーシャンを見つけるためには、どうすればよいでしょうか。

中村「現場に行くこと」、それにつきますね。途上国の課題は、実際に現場に行かないと、なかなか感覚として理解することができません。

 たとえば、エネルギーのニーズに関する報告書を読んでみても、街のどこで灯油が売られているか、どういう人が売っているのか、どのくらいの量でいくらなのか、1つの家庭で1日に何リットル必要なのか、などの周辺の情報がわかりません。こうした周辺情報は、途上国向けの製品をデザインし、サービス提供を構築していく際に欠かせないものです。こうした情報なしに、現地に暮らす人たちのニーズ「明かりがない」を満たすことは不可能と言わなければなりません。

 一方で、企業の技術者と一緒に東ティモールに行くと、彼らはすぐに課題を見つけて、できることを探しはじめ、アイデアをたくさん出してくれます。日本のモノづくりは、世界で求められているし、たくさんの可能性を秘めている、そう毎回強く感じます。

次回は、巨大なニーズを抱える貧困層市場に挑むのに有効な、「ハイブリッド・バリュー・チェーン」という考え方について語っていただきます。企業、大学、政府、NPO、現地団体などがコラボレーションしてイノベーションを起こしていく様はまるでシリコンバレー? お楽しみに!(3月25日公開予定)


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