中国における人件費の上昇と、それに伴う東南アジアへの工場移設が語られ始めて久しい。その移転先の東南アジアにおいても、タイやインドネシア、ベトナムをはじめ、近年賃金水準が急激に上昇し、現地のマネジメント担当者の頭痛の種となっている。
そのようななかで始まったミャンマーの政治経済改革。安価な労働力がふんだんに存在するミャンマーが、将来の製造業の拠点候補として羨望の目で見られたのはある種の必然だった。
その後、具体的にミャンマーへの進出の検討が始まるにつれて、現地に潜む多くの課題要因についても、少しずつ理解されるようになった。よく語られた点が、電力問題や、設備の整った工場用地の不足、ロジスティック上の問題、熟練労働者の不足などだ。
はたして、製造業にとってミャンマーは、どこまで現実的な進出先候補なのだろうか。
2012年の段階では
まだ本格化していないミャンマー進出
日本企業の進出先として、まずはミャンマーの立ち位置について確認したい。下記は、2012年段階での日系企業の海外進出先一覧だ。アジアのなかでは、中国が依然として他を引き離して1位にあり、2位には進出先として人気が高まっているインドネシア、3位にはタイが入っている。他のアジアの進出先としては、ベトナム、インドがそれに続く。
ミャンマーはというと、フィリピンと同じく年間6件となっている。ミャンマー以外の、ミャンマーに類似した人件費の安いアジアの国々であるカンボジア、バングラデシュは、それぞれ年間6件、5件と、基本的にはミャンマーと同等の水準だった。