2020年の東京五輪はどのようなレガシーを残すのだろうか? 再び遠藤議員に語ってもらった。

「(2020年大会のレガシーは)日本再生だと思っている。前回の東京五輪を通じて、日本経済は高度成長期を迎え、世界の経済大国になりうる基盤を国民が力を合わせて作っていった。しかし、この20年で日本人が自信を失いかけている感は否めない。

 施設の建設から大会運営にいたるまで、さまざまな分野で日本の最高の技術を試してみるべきではないだろうか。また、健常者も障害を持った人も同じ船の上で共に暮らしているという意識が高まることを期待している」

オーストラリア政府の
シビアな強化策

 スポーツ庁の創設を前に課題が山積する日本のスポーツ強化策だが、海外の事情はどうなのだろうか? スポーツ大国として世界的に知られるオーストラリアの例をソフトボールで紹介したいと思う。

 オーストラリアの女子ソフトボール代表はソフトボールが大会競技に組み込まれた1996年アトランタ大会から2008年北京大会まで、各大会でメダルを獲得している。投手として4大会全てに出場し、現在は日本女子一部リーグのSGホールディングスでコーチを務めるメラニー・ローチさんは、オリンピックの大会競技からソフトボールが外れた影響の大きさについて語る。

「北京大会を最後にソフトボールはオリンピックの競技から外れましたが、それがきっかけとなり、オーストラリア政府からのソフトボール協会への助成金は年々減らされる傾向にあり、この1年で前年比の33パーセントが減らされました。金額にすると、80万豪ドル(約7500万円)になります。

 急激な予算の減少によって、オーストラリア国内で巡回コーチを雇い続ける資金もなくなり、結果的にソフトボールの普及や選手の強化がままならなくなってきました。国際大会に参加する際の遠征費も自己負担となり、3000ドルが払えずに代表を辞退する選手まで出てきたほどです。

 ソフトボールはもともとオーストラリアでは決して高い人気を誇るスポーツではなかったのですが、オリンピックで結果を出し、政府からの助成金によって全国レベルの普及活動も可能となり、時間をかけてここまでのステータスにしたという思いがあったのですが……。オリンピック競技からの除外によって競技人口も激減するのではないかと危惧しています」

 遠藤議員が語ったように、強化費用の優先的投入によって、国際大会で結果を残せるようになり、そのスポーツやスポーツ全体への理解度や人気が高まり、それが普及への導線となる可能性は高い。

 しかし、その論理だけでスポーツ行政を推し進めれば、ローチさんが語るオーストラリアのソフトボール事情のように、そもそもオリンピックなどの世界的に注目を集める大会で、競技種目に採用されていないような競技は、強化費の投入をする意味が無くなってしまうという事になる。結果的にそうした競技への助成金は減らされ、普及活動が滞ってしまう本末転倒にも思える。

 突き詰めれば、国民がスポーツをどう捉えるかという根源的な問題に行き当たる。6年後、オリンピックが東京で開催されることが決まった今、一度、この問題に立ち返って議論し、強化と普及のバランスをどうすべきか、考えるときに来ているのではないだろうか。