今、どういう人が里山へ移動しているのか?
増加するIターン、Uターン希望者たち
山崎 一回開墾したところを全部、誰もが取得しやすいようにして、この国土を守っていけるかを考える必要があると思うんですよ。だから、「二地域で住もう」とか「移住しよう」と思った人たちが、どういう場所を選ぶかというのも、今後一つの視点になるという気がしますね。
馬場 今、全国的にはどういう物件がよく出ていますか?
吉里 全国的に見るとバラバラなんですけど、傾向としては、「金沢R不動産」で仲介しているお客さんは、地元以外の人たちが4割くらいです。それは僕らが「東京R不動産」をやっているという影響ももちろんあると思うんですが、この先の未来というか、大きな社会の流れの一端を示しているような気がするんですよね。だから、僕の実感としては、若い人たちのIターン、Uターンは増えているような感触がありますね。
馬場 どういう仕事をしている人が多いんでしょうか?
吉里 まぁ、フリーランスというか、ある程度、自分で時間をやり繰りできる人が多いですね。山崎さんも大阪に住んでいますけど、東京だろうが、鹿児島だろうが、今はどこに住んでいても生活が成立しちゃうじゃないですか。金沢に移り住んでいる人でも、月に一度くらいは東京や熊本に行ったりしている人は多いですね。
山崎 そうでしょう。僕も住んでるって言っても、月5しか、大阪にいませんから(笑)。
吉里 最近だと、福岡を拠点に移動する人も増えていますね。ちなみに、福岡と房総で「トライアルステイ」と呼んでいる「お試し居住」の企画をやったことがあるんです。農家が使っていない離れなどを利用して「ひと月500円くらいで試しに住む」という企画です。そうすると、福岡のトライアルステイでは、3割くらいが首都圏の人でした。
山崎 へー、そうなんだ。
吉里 それをきっかけに、福岡の筑豊地方っていう、福岡の中心部から1時間半くらい行ったところの農家に実際に移住したりする人も結構出てきてるんです。
馬場 そういう方々のことを、アーリー・アダプターっていうんですかね。
吉里 どうなんですかね。まあ、アーリーなのかもしれないですね。山崎さんみたいな働き方をしていたり、時間や場所に拘束されずに都会と田舎を行き来するような、二拠点、多拠点居住の人もいますが、その一方で、「田舎暮らし」を求めて都会から移住して、その地に根差すような暮らしを求めている人も当然います。タイプは全然違いますが、確かにアーリーかもしれないですね。