その結果は、通常通り登校できていると答えた保護者との数値の比較がグラフ化され、アンケートの実施主体である「市立小・中学校不登校児童生徒対応協議会」(現職校長、教職員OB、民生委員、PTA役員らで構成)に報告された。

 中でも、関係者の予想に反したのが、不登校傾向にあると答えた保護者は、養育に際して、礼儀や規律、勉強などのしつけを厳しくしてきた割合が、通常通り登校している家庭に比べると多く、子育てへの関心も高かったことだ。

「石巻の場合、震災前から、不登校者の数が多かったので、何とかしなければいけないという思いが、委員会のメンバーの中にも強くあったんです」

 そう市教委の担当者は説明する。

 しかし、保護者から批判を受けているのは、まずアンケート用紙の冒頭に記された次の説明だ。

「お母さんがお答えください」とわざわざ記載
被災地として配慮のないアンケート

<このアンケートは、保護者の方がご回答ください>

<ご両親と相談なさることは構いませんが、お子さんには質問せずに、ご自身の考えや感じていることをご記入ください>

 この文面を見て驚いたのは、震災の津波で母親を亡くした子どもの父親だ。子どもが通う中学校には、同じように被災して、両親を亡くした生徒もいる。

 しかし、最初の設問から<1 お母さんの仕事の状況について>とあり、<※この質問は、お母さんがお答えください。>と、わざわざ添えられていた。

 そして、アンケートは、こう尋ねる。

<あなたは最初のお子さんの誕生から現在まで、仕事をしていましたか?>

 そして、「仕事をしていた(している)」母親には、その仕事別に、①仕事の種類、②期間、③勤務日数、④勤務時間、⑤休日、⑥勤務時間――を細かく記入するよう指示されている。

 また、<今後も仕事を続けたい、もしくは仕事を始めたいと考えていますか?>と続き、その理由も書くよう求めている。

「お母さんの仕事の状況について」と尋ねたアンケートの設問。しかも「※この質問は、お母さんがお答えください」とわざわざ添えられている
拡大画像表示

「これは被災地で行うアンケートではない。配慮が足りなくないですか?」

 そう父親は怒って、筆者にアンケート用紙を見せてくれた。