「事業再編のスキーム(手法)が難しすぎる!」

 ゴルフ場運営で最大手のアコーディア・ゴルフは3月28日、保有ゴルフ場の約7割に当たる90コースをシンガポール証券取引所で上場させ、新株予約権付ローンによる資金調達も行い、自己株式の公開買付けを行うと発表した。その記者会見場で記者たちは頭を抱えた。難解に入り組んだスキームのプレスリリースは43ページにもおよび、簡潔にまとめることは至難だった。アコーディアは、長らくの“危機”を一気に解消するために強引ともいえる策を繰り出したのである。

 今回の事業再編の狙いを鎌田隆介・アコーディア・ゴルフ社長は「株主価値の最大化」と説明する。現在はゴルフ場を保有した上で運営しているが、それでは資産が肥大化して効率的に運営できない。そこでゴルフ場という不動産を切り離して、ゴルフ場運営と運営資産の拡大に特化することを選択した。

 つまり、機動的にゴルフ場を買収して、ブラッシュアップした後はゴルフ場保有会社へ売却するビジネスモデルに転じる。不動産という大きな資産を切り離せば身軽になり、株主資本利益率は向上する。資金調達も楽になる。

 具体的には保有する133コースのうち、90コースを新設するゴルフ場保有会社へ約1117億円で売却し、その後に保有会社をシンガポール証券取引所で売却額以上の価格で上場させる。売却したゴルフ場の運営業務をアコーディアが継続できるよう、一定の株式は保有する。

 事業再編の内容はそれだけではない。大和証券グループを戦略的パートナーとし、同グループから新株予約権付きローンで約200億円を資金調達する。そして、ゴルフ場の売却益などを原資に自己株の公開買い付けを行う。スキームの真の狙いは、この自己株買いにある。

元村上ファンド関係者は
賛同して株式売却を約束

 アコーディアは2013年、業界2位のPGMホールディングスから敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられた。ぎりぎりのところでTOBは逃れたものの、今度は大株主として元村上ファンド関係者が突然、乗り込んできた。