「後はうちの営業マンで面倒を見ますから、お客さんは置いていってください、という姿勢はあまりに傲慢ではないか」──。
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SMBC日興証券は大手証券で唯一展開してきた、ファイナンシャルプランナー(FP)や保険代理店などの金融商品仲介業者を通じて投資信託などを販売する「金融商品仲介ビジネス」を、来年3月に終了すると決めた。
だが、中部地方の仲介業者は冒頭のように述べ、怒りを隠さない。
この金融商品仲介ビジネスとは、SMBC日興と契約している仲介業者が顧客に対し、同社が提供している金融商品を販売し、売買手数料や信託報酬をSMBC日興と分け合う仕組みだ。顧客の口座はSMBC日興に開設され、投資信託などはその口座に入るようになっている。
証券会社の営業マンには定期異動がある上、厳しい収益ノルマにより、顧客に無理な売買を強いることもある。一方で、地域に密着したこうした仲介業者にはノルマがなく、顧客本位のビジネスが可能だとされる。
終了に際して仲介業者の不満が集まったのは、SMBC日興が当初、仲介業者の顧客の投資信託を他の証券会社に移管できないと説明したことだ。
もし他社への移管ができなければ、仲介業者がこれまで自力で開拓し、長年関係を築いてきた顧客を資産もろとも、SMBC日興の営業マンに引き継ぐことになる。
同様の仲介ビジネスは、ネットや中小証券も展開しているが、複数の証券会社と契約している仲介業者ならまだしも、SMBC日興1社と専属契約している業者にとっては死活問題だ。