美しい実験ができるかどうかで
研究者の適性を見抜く

 科学の世界では、新しい発見とは既成の事実で説明できないものとして発見されます。しかし既成の事実や論理を知らなければ、新しい発見もないでしょう。つまり知識と思考方法に裏打ちきれた論理をしっかり組み立てることこそが、研究者としての成功への第一歩なのです。

 理路整然と整理された美しい書類と、グチャグチャの書煩の違いは、単に本人の美的センスだけではなく、論理性が反映された結果だと思います。

 研究者としての適性を見抜くことは難しいですが、実験させればある程度見抜く自信はあります。プログラミングの世界における美しいコードが書けるかどうかと同じく、美しい実験ができるかどうかがポイントです。

 美しい実験とは、理論的に整合性のある対照(コントロール)を置き、結果の解釈を誤らないための種々の工夫がなされている実験です。実験は結果を得るまでにさまざまな工程を経ますから、その間の多くの押さえるべきポイントを理論的に把握できている人だけが、最終的にきれいな結果に到達できます。

 そのためには、研究結果ではなく、研究過程における論理性を大切にすることが重要なのです。

実験ノートで
論理性を磨く

 ではどうやって論理性を磨けばいいのか。ビジネススキル本がお好きな人ならご存じかもしれませんが、論理性を磨くための一番の近道はノートをとることです。研究過程における論理性を高めていくためにも記録をとるのです。

 先に述べたとおり、美しい実験ができる人になるためには、数多く実験を行うことはもちろんですが、毎回の実験記録を取り、見返し、客観的に分析したり、ときには担当教授のフィードバックを得たりすることが重要です。