Bさん「じゃあなぜ、それに気づいた人が、自分や組織のために、劣化したマニュアルを変えようとしないの?」

Aさん「3つ理由があると思う。1つは、前述のとおり日本人は組織のルールに厳密に従う。例え劣化していてもマニュアルはルールだ。

 2つ目は、劣化そのものに気づかいない人がいる。長年同じ会社の中でのマニュアル作業に慣れてしまい、『なぜ、これやらなきゃならないの?』『本当にこれでいいの?』『他にいいやり方があるのでは?』という批判的思考をしないからだろう。

 3つ目は事なかれ主義だ。ルールに従ってさえいれば、誰からもお咎めを受けない。自分の立場が悪くなるリスクを負って、ただでさえ重たい業務量をさらに増やしてまで、ルールを変えてやろうという元気と勇気が湧かないのだろう」

Bさん「なるほど、本来、作業効率を高めるための業務マニュアルが、逆に余計な意味のない仕事を増やし、長時間労働に拍車をかける……なんと皮肉な話だろう」

疲れて「やってくれない」男たち

Aさん「日本の男性は疲れている……これは僕が初来日の時に強く印象に残ったことの1つ。電車でうたた寝する人は多いし、会議など仕事中でも船を漕ぐ人がいる。夜の駅構内や街角にはスーツ姿で泥酔して寝ているサラリーマン……それに全体的に元気がないと感じたよ」

Bさん「僕も同じ印象を持ってるけど、実は同じようなことを言う外国人や、海外在住で一時帰国した日本人は多いね。やっぱり連日の残業や満員の通勤電車で疲れ切っている人が多いってことかな」

Aさん「それで帰宅も遅いから、日本の男性は、家業(家事、育児、介護等)をほとんどしない」

Bさん「日本で国際結婚(特に、夫が日本人で妻が欧米人の場合)が長く続かない最大の理由の1つだね」

Aさん「例えば、OECD(経済開発協力機構)が今年3月7日に公表した時間の使い方に関する国際比較データがある。これを見ると、日本人男性(16~64歳)が家業(家事・買物・育児・介護)に費やす時間は、1日平均54分だけ。OECD26ヵ国中、韓国とトルコの男性に次いで3番目に少なく、また150分前後と最も多い英国、デンマーク、フランスあたりの男性に比べると3分の1程度」