日本人にとってまだまだチャンスは多い!
成功する「シンガポール就職」の心得とは
いまやグローバル(世界)で就職することを「セカシュー」と呼ぶのだとか。アジア経済圏における台頭もあって、最近ではシンガポールでの就職を希望する日本人もたくさんいると聞いている。僕がシンガポールに就職を決めて、ここにやってきたのは11年前。当時は「島流し」される人間に向けられるような目で見られたものだが、嬉しいものだ。その頃と比べると、就職事情もすっかり様変わりしたものだ。
しかし、ちょっと残念なニュースもある。ここ数年、シンガポールでの外国人就労ビザが取りにくくなっているのだ。
理由は、外国人ワーカーが増え過ぎたために、車や電車が混雑していること、住居不足から家賃が急上昇したこと(過去10年間で、民間住宅賃貸指数で約1.7倍の上昇)などにある。外国人ワーカーのせいで良い職からシンガポール人があぶれたとの話も聞く。そこで政府は、有権者であるシンガポール人のために、外国人ワーカーの就労ビザの発給を制限しているわけだ。
以前は、学生インターンシップでも手軽なワーキングホリデービザが使えたのだが、2012年12月の制度改正 で、「世界大学ランキング200位以内の大学」に制限されてしまった。この改正はシンガポールでもちょっとした騒動になった。
日本の場合、わずか11大学(旧帝大と、筑波大学、東京工業大学、早稲田大学、慶應義塾大学)の学生と卒業生だけに制限されたために、インターンシップで気軽にシンガポールに来ることも難しくなってしまった。シンガポールで内定が出たにもかかわらず、就労ビザが取得できなかったため、泣く泣く帰国したという話もあるくらいだ。
やはり日本人にとって、シンガポールでの就労は難しいのか……と思ってしまいそうだが、とはいえ欧米での就職と比べると、シンガポールはまだまだ就職しやすいように思える。
すでにご存知の通り、今はアジアがこれからの世界の成長エンジンとして注目されている。アジアのハブ国としてのビジネスニーズは高く、シンガポールには欧米企業のアジア地域統括拠点が多く、シンガポールから日本のビジネスを管理する企業も多い。シンガポールは日本人向けの案件数や、その種類も多い。それに対して、アメリカ、カナダ、欧州でも就職先がないことはないが、これらの地域は失業率が高く自国の雇用のほうが優先される傾向が高いはずだ。