職人不足と、それに伴うコスト上昇の影響は、土木と建築に分けると、特に建築で顕著だ。図を見ていただきたい。4社の土木と建築の完成工事総利益率(いわゆる粗利、単体ベース)を示したものだ。土木は鹿島の17.2%を筆頭に、かなりの高水準。一方の建築は各社とも低水準だ。この差は、官と民の、工事コストに対する対応の違いから生まれている。

大幅増益となったスーパーゼネコンの前期決算 <br />人件費高騰への対応が14年度の業績を左右

 土木はほとんどが国や地方自治体が発注者。人手不足を受けて国土交通省は、この2年で30%ほども設計労務単価を引き上げた。つまり、土木工事に関しては、人件費上昇分のかなりの部分を、発注者が支払ってくれる体勢が整っているのだ。一方の建築工事の主な発注者となる民間企業の場合、「マンションなら発売価格、オフィスビルなら賃料、という市場価格がある。いくら人件費が上がったからといって、転嫁は簡単ではない」(渡辺英人・清水建設経理部長)。

 14年度は各社とも、建築の利益率アップを見込んではいるものの、「そもそも前期が低すぎる」というのが共通の認識。今年1月、青山の超高級マンションで欠陥工事が発覚し、損失を計上するなどして、たったの0.3%となった鹿島はもちろん、ほかの3社も本来なら7%以上は欲しいところだ。ここから経費をさっ引くから、4%台が黒字になる最低ラインなのだ。鹿島は13年度、土木で群を抜いて高い利益を確保できたために営業増益となったが、早急に建築を建て直さなければ、14年度はライバルに差をつけられるだろう。

 東京五輪関連工事の発注が始まっていけば、人手不足は一段と厳しくなる。政府は外国人労働者の受け入れ拡大を決めているが、技術レベルが日本人ほど高くないうえ、人数が少ないため、抜本的解決策とは言いがたい。14年度はいかに熟練工を確保し、かつ受注金額と人件費をコントロールできるかにかかっている。

 その点では、4社とも比較的堅めに14年度の予想を立てていると見られ、業績は上ぶれする可能性も高い。ただし、大きな赤字工事を出さなければ、の話だ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)