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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

オバマ政権と二人三脚で技術革新を進めるシリコンバレー

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第19回】 2009年6月4日
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5. 産業全般に広がる化石燃料依存からの脱却

 技術革新によって、全世界ベースで国民総生産に占める炭素排出量の削減が進み、エネルギーのインフラが大きく変わり、これが新しい産業と雇用を創出するだろう。こうした産業には、照明、エンジン、電子機器、水、プラスティック、セメント、ガラス、鉄鋼がある。

6. スマートグリッドへの投資増加

 スマートグリッド(賢い電力網)とは、消費者と電力会社がITを採用することで賢い電力の消費と供給を推進することである。消費者はスマートメーター(賢い電力メーター)を家庭に導入し、電力消費量の大きな電子機器を知り、時間帯による電力料金の高低を知ることで、電力の賢い使い方ができるようになる。

 他方、電力会社はスマートメーターからの情報で刻々変化する電力需要を把握できる。電力会社は原子力、石炭・石油、太陽光、風力等の様々な発電方法を採用しているが、太陽光は日中しか稼動しないし、風力は風が吹かなければ発電できない。また、原子力は一旦稼動させたら止められない。発電所と本社をITで繋ぎ、刻々変化する電力需要に対応して、最適な発電方法を組み合わせていく技術を採用することで賢い電力供給ができるようになる。

 VCのスマートメーターへの投資は、2008年に前年比37%も増加した。オバマ政権はスマートグリッドに110億ドル(1兆1000億円)の予算をつけており、今後電力インフラのスマート化は急速に進む可能性が高い。

7. インターネットの利用者が進めるウェブの革新

 ウェブの技術革新は中央ではなく、エッジ(裾野)から起こる。世界中のインターネット利用者が、新しいコンテンツや技術をインターネットに持ち込み、従来の電話会社や検索サービス会社による中央からの革新を過去のものにするだろう。

8. ヘルスケアのB2Bソフトウェアの興隆

 エスカレートする一方の医療費を押さえ込むために、ヘルスケアの分野で様々なソフトウェア開発が進み、VCがこれに投資している。オバマ政権がヘルスケアのIT化に200億ドル(2兆円)の予算をつけたことで、更に開発が活発化するだろう。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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