給料は「必要経費分」のみ
ぼくら労働者の給料は、「労働力の価値」で決まっています。つまり、労働力を再生産するために(明日も働くために)、必要なお金を給料としてもらっているわけです。
とすれば、月末になると銀行残高がなくなっているのも、まったく不思議ではありません。その1ヵ月間、生活して、仕事をするために必要なお金を給料としてもらっているので、月末になったらお金がなくなっているというのは、むしろ「当たり前のこと」とも言えます。
逆に考えると、労働者は「明日働くために必要な分」しかもらっていない、ということがわかります。
「ひと月に数回は飲みに行って気晴らしをしないと、やってられない」と考えられていたとしたら、その飲み代も「必要経費」として給料に上乗せして支給されます。
ただ、これも「精神衛生を守るための必要経費」なのです。必要だからくれるわけであって、決して労働者が「頑張ったから」でも「成果を出したから」くれるわけでもありません。
ぼくらの給料は、このように必要経費方式で決まっているのです。だから、「サラリーマンはいつまでたってもしんどい」のです。人によって、もらっている給料が違います。新入社員より、30年目のベテラン社員の方が給料は高いでしょう。
しかし、それは30年目の社員の方がいい成績を出しているからではなく、30年目の社員の方が扶養家族ができたり、年相応の身なりをしなければいけなかったりして、生活費が高いからなのです。もちろん、新入社員より30年目の社員の方が、仕事の成果も高いだろうと思います。
しかし、必ずしも年次が上の人が成果を出せているわけではありませんし、給料が支払われている「労働力の使用価値」(労働者が会社にもたらす利益)ではありません。あくまでも「労働力の価値」に対して、なのです。
ということは、給料が上がったとしても、それは「生きていくための必要経費が増えたから」なのです。生活は常にカツカツなのです。