あなたの組織はなぜ勝てないのか?
社員を蝕む組織の「黒い心理学」
まず初めに、この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。
今日本の40代以下のビジネスパーソンの中で、働くことにやり甲斐を持っている人がどれだけいるだろうか。あるいは、やり甲斐のある仕事に就けるという希望をもっている学生が、どれだけいるだろうか。
「社畜」という言葉がネットを駆け巡り、企業が非正規社員、いわゆる「派遣」やアルバイトに、分不相応な仕事を押し付ける状況がまかり通っている。
そうした過酷な環境の中でビジネスパーソンが仕事を通して成長し、培ったスキルをその後のキャリアに活かすことができる可能性は、ほとんどない。彼らの多くは、自分たちが「使い捨ての駒」に過ぎないことを自覚しつつも、日々の生活のために仕方なく会社の要請を受け入れる。
そのうち、ストレスによる体調不良、対人関係の悪化、うつなどに苦しむことになり、そして最悪の場合は自らの命を絶ってしまうことさえある。
社員を疲弊させるそんな企業が台頭する日本社会では、当然ながら「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。
単に景気が悪いから、グローバル化で生き残り競争が激しくなったから、といった画一的な議論だけでは、「勝てない組織」に根付く課題を炙り出し、問題解決を図り、「勝てる組織」をつくることは難しいのではないか。