法人税改革の議論が、経済財政諮問会議、自民党税制調査会、政府税制調査会のそれぞれの場で白熱している。当面は、6月末に予定されている「骨太の方針」にどう記述されるかが関心事だ。年末の決着に向けて、今後どのように議論を展開すべきか考えてみた。
減税の財源は自然増収が「アテ」
法人税議論に対する経済界やマーケット関係者の関心は、何のために法人税を引き下げるのか、引き下げた場合の効果は、といった総論ではなく、「いつから何%引き下げるのかと」いう点と、「その財源は何か」という2点に移っている。
経済再生と財政再建の両立という哲学の下では「課税ベース(税を課税する対象)を拡大しつつ税率を引き下げる」という考え方を取らざるを得ない。しかし、引き下げる税率が大きければ大きいほど、課税ベース拡大だけでは賄えなくなり、「それ以外の財源」が問題となる。
この点、経済財政諮問会議民間議員は、5月15日の会議に提出した資料で、「法人税の実効税率について、将来的には25%を目指しつつ、当面、数年以内に20%台への引下げを目指すべき」としている(日本の法人税の実効税率は現在約35%)。
わが国経済がアジア諸国と競合している以上、経済のこれ以上の空洞化を防ぐには、「当面5%程度、中期的には10%程度の引き下げを目指す」という目標は、決して驚くべき数字ではない。
問題は、その財源である。民間議員は、「それ以外の財源」としてアベノミクス効果による「税収の自然増」を上げている。
諮問会議提出資料では、「アベノミクスの成果として、実績がこの基準(政府の財政健全化の取組の前提となっている予算等(筆者注:2013年度補正後予算、14年度当初予算など)における法人税収(国・地方)のレベルを上回る場合には、その超過分と税収中立の改革による財源を合わせて、法人税率引下げに還元することで、『経済再生』と『財政健全化』の両立を目指すべき」としてりう。わかりにくい文章だが、要は法人税5%引き下げ時の財源も自然増収を「アテ」てにしているようだ。