株主総会が近づいてきたが、ここ数年、この時期になると話題になるのが委任状争奪戦、いわゆるProxy Fight(プロキシー・ファイト)である。大株主と経営陣が株主総会での決議事項で対立し、お互いがほかの株主に自らの意見に賛成してもらおうと一生懸命になる“あの行為”だ。

 この委任状争奪戦が有名になったきっかけは、村上ファンドが東京スタイルや昭栄の株主総会でこれを展開したことにさかのぼるが、両方とも経営陣側の勝利に終わったことで委任状争奪戦は日本では成功が難しいと考えられていた。

 それが、いちごアセットによる東京鋼鐵と大阪製鐵の経営統合への反対キャンペーンが成功し、イオンによるCFSとアインファーマシーズとの経営統合への反対キャンペーンでも成功するなど、委任状争奪戦において株主側が勝利するケースが出てきている。

 これは画期的なことである。今年注目されるのは、TCIによる電源開発(J-Power)に対する委任状争奪戦である。

 さて、この委任状争奪戦のことを、上ではわざと「キャンペーン」と書いたが、経営陣と株主がそれぞれの意見を主張し、ほかの株主に自らの意見に賛同してほしいと願う姿はまさに選挙活動をすら髣髴とさせるキャンペーンにほかならない。しかし、先日、会社法の授業で登場したのだが、ほかの株主に対してマスコミを通じてキャンペーンを行うことは法的にはグレーだという解釈もあるとのことである。

マスコミを通じた
対株主キャンペーンはNG?

 金融商品取引法194条においては、「何人も、政令で定めるところに違反して、金融商品取引所に上場されている株式の発行会社の株式につき、自己または第三者に議決権の行使を代理させることを勧誘してはならない」となっている。この上記「政令で定めるところ」の規定があいまいなため、マスコミでのインタビューなどが規制の対象となるかどうかはグレー、というのが背景だ。