メンタルトレーニングの専門家に聞く
目標設定の違いによる「メンタルの罠」

「私たちが自分に自信を持とうとしたとき、多くは過去の結果だけを見て自信をつけようとしがち。でもこれは理想的ではありません。結果から自信をつけるのと同様に、日常のトレーニングや練習から、さらには自分の能力から自信をつけることも必要です。過去の結果だけが主体となった自信は、1つのミスや負けにより崩れてしまうんですね。これはW杯のような短期決戦において致命傷です」(大儀見氏)

 結果を元についた自信は、結果により簡単に崩れる可能性がある。一方、能力や日常のトレーニングから来る自信は崩れにくい。

 そもそも、日本はまだまだW杯においては“新参者”だ。サッカーW杯や、あるいは強豪国との対戦における日本代表の過去の成績は、自信をつける材料とは言いにくい。最高成績がベスト16であるため、それ以上の戦いになれば過去の結果から自信をつけるのは困難だ。

 だからこそ、結果ではなく、それまでのトレーニングや練習などから自信をつける必要があるようだ。

 日常のトレーニングや練習など、「過程」から自信をつくることが、W杯を戦う上で大切だという大儀見氏。さらに、こういった過程を重視する考えは、「選手1人1人が目標を設定する上でも意識するべき」だと語る。

「アチーヴメントセオリーという理論があります。これは、自分の目標をどう設定するか、それにより自身の成長や過程が変わるというものなんですね。目標の設定には2タイプあり、結果や評価・査定を目標に据える『自我目標志向性』と、それまでの成長や過程を重視する『課題目標志向性』という考え方に分かれます」(同)

 たとえばW杯に出る選手なら、「グループリーグを2勝以上したい」「大会を通じて4ゴール決めたい」など、具体的な結果を目標にするのが自我目標志向性。一方、「○○というトレーニングをきちんとこなして大会に向かいたい」という過程に目標を置くのが課題目標志向性だ。

 そして、「スポーツで勝つ選手の多くは、課題目標志向性の持ち主だと分かってきている」と大儀見氏は言う。