政府は、24日の臨時閣議で、経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太の方針)、新しい成長戦略、規制改革実施計画をそれぞれ決定した。
それぞれ大部であり、官僚が盛り込んだと思われる項目も多い。しかし、アベノミクスの第三の矢は、下手でも数打たないと当たらないわけだから、その点は評価できる。筆者の感覚では、第三の矢は、その経済効果が出るのも数年先、その間で百に三つ当たれば、いいほうだ。そのためにも、特区の仕組みを使って、失敗をおそれずにやってもらいたい。
財務省と経済界の暗黙のバーター
今回のコラムでは、法人税減税を取り上げたい。まず、骨太では、
「日本の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めることとし、その一環として、法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げることを目指し、成長志向に重点を置いた法人税改革に着手する。そのため、数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す。この引下げは、来年度から開始する。」
と書かれている。懸念されていた財源論については、
「財源については、アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造的に改善しつつあることを含めて、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するよう、課税ベースの拡大等による恒久財源の確保をすることとし、年末に向けて議論を進め、具体案を得る。
実施に当たっては、2020年度の国・地方を通じた基礎的財政収支の黒字化目標達成の必要性に鑑み、目標達成に向けた進捗状況を確認しつつ行う。」
と財政再建路線からはずれないとの枠がはまっている。
まず、この方針は、どのように税法に実装されるのだろうか。税法は数字をきちんと書く必要がある。「数年で法人実効税率を20%台まで引き下げる」というのは、政治的には「アリ」だが、税法にはならない。来年度の税制改正は、今年の年末に決まるが、それまでに、来年度の法人実効税率はどうなるのか、決まるはずだ。
その前に、消費税税率の8%から10%へ再増税するかどうかを、政府は判断するという。一方、法人税の実効税率がどれだけ下がるかわからないが、一応下がる。ということは、政治的には、消費税増税は決まったも同然である。というのは、消費税増税と法人税減税は、経済界と財務省の間では、暗黙のバーターになっているからだ。