「1DAY戦略」を立てると、
1日の勉強量が明確になる
白川敬裕(しらかわ・たかひろ)
弁護士(東京弁護士会所属)、原・白川法律事務所パートナー。 東京大学法学部卒、ラ・サール高校卒。 1975年、福岡県北九州市生まれ。大学4年在学中に司法試験に合格。24歳で裁判官に任官。民事訴訟、医療訴訟、行政訴訟、刑事訴訟等の合議事件に関わる。民事保全、民事執行、令状等も担当。 2003年、弁護士に転身。 著書に『ビジネスの法律を学べ!!』『憲法がヤバい』(共に、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、2014年7月まで「ビジネス法務」(中央経済社)にて「民法改正KEYWORD」を連載。共著に『会社の健康リスク対策は万全か』(フィスメック)がある。 NPO法人 日本融合医療研究会副理事長
「長期戦略」と「短期戦略」を立てるのは、「今日すべきことを決めるため」でもあります。
長期・短期の戦略から逆算すれば、「今日、何を、どれだけ勉強すべきか」を細かく決めることができます。
私は、学生時代から、「長期戦略」と「短期戦略」から逆算した「1Day戦略」を立てて、「その日やること」を決めていました。「その日やること」をメモや手帳、フセン紙などにあらかじめ書き出しておくのです。
たとえば、1年後に東大合格するための勉強を3ヵ月単位に分割したものが「長期戦略」だとして、2週間後に行われる「学校の定期テストで10位以内」が「短期戦略」だとします。
定期テストは、「教科書のここから、ここまで」と出題範囲が決められています。仮に、国語の出題範囲が「教科書35ページ分」あったとしましょう。
「2週間で、5回、教科書の内容を繰り返す」ために、「最初の1週間で2・5回終わらせる」ことを目安にします。すると、「35ページ×2・5」÷「7日間」=「1日12~13ページ」。
「国語の教科書を1日12~13ページやり、問題集を解く」のが、毎日のノルマ(最初の1週間)になるわけです。国語、数学、理科、社会…、すべての科目で「1Day戦略」をつくると、モレなく、試験範囲を繰り返し勉強できます。
模擬試験のように、「出題範囲が決められていない場合」は、「1日何ページ勉強する」と決めることができないので、もう少し大きな範囲で「ざっくりと」教科書や問題集のページ数を決めておけばいいと思います。
司法試験なら「前回の模擬試験では民法の成績があまりよくなかったので、次の模試までに、民法の教科書をひと通り読み直しておこう。模擬試験は2ヵ月後なので、そのためには、毎日、これくらい読んでおこう」といった具合に、おおよその目安をつけておきましょう。
そして、勉強を終えるごとに、「1Day戦略」のリストを赤ペンで消していく。そうすれば、「これだけの量、頑張った!」という、自信や達成感を味わうことができます。
余裕をもってスケジューリングし、
さまざまな科目を組み合わせる
「今日、これだけ勉強をしよう」と決めても、そのとおりにいかないこともあるでしょう。思うように勉強がはかどらず、リストを消化できない日があるかもしれません。
したがって、「1Day戦略」をつくるときは、「余裕を持って、計画を立てる」ことが大切です。そうすれば、たとえ1日のノルマを消化できなくても、翌日、リカバリーできるからです。
無理な計画は、すぐに破綻します。学生時代、私は定期テストのために、余裕を持って「2週間前」から準備をしていました。
自分の能力を過信して、「1週間でも、すべての試験範囲を、5回以上終えられるだろう」というように甘く見積もっていたら、おそらく、スケジュールどおりにこなせず、徹夜をしても間に合わないということになっていたと思います。
また、ひとつのことを長時間やり続けると、効率が悪くなります。
ですから、「1Day戦略」を立てるときは、1日中、同じ勉強をやり続けるのではなく、「さまざまな科目を組み合わせる」べきです。
「今日は1日中、日本史だけやる、明日は数学だけやる」よりも、
「午前中は日本史、午後は英語、夕方からは数学、夜は現代文」
といった具合に、1日の時間を「いくつかの科目に割り当てる」ほうが、より集中して勉強できるようになります。
「1Day戦略」をつくると、今日やるべきことが明確になるため、勉強の進捗状況や達成率がわかりやすくなります。また、余計な勉強をしなくてすむので、時間の無駄を省くことができるのです。
では、次回の「第5回の記事」では、(3)【思考】「自分の頭で深く考える力」について、詳しくお伝えしていこうと思います。
(※次回・第5回の記事は、「7月22日(火)」になります)
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