この連載では、小学校5年生まで「勉強ゼロ」だった白川敬裕氏が、「ラ・サール高校」→「東大」→「司法試験合格」→「裁判官」→「弁護士」になった、【本物の勉強法】についてお伝えいたします。「試験」にも「仕事」にも一生使える、無理や無駄を省いた、王道の勉強法です。

「勉強の2次曲線」を理解する。
「伸び悩み」は、成績アップのサイン

 さて、「第2回の記事」に続きまして、この「第3回」では、

【勉強に必要な3つの力】
(1)
【感情】「やる気をコントロールする力」

(2)【戦略】「計画を立てて継続する力」
(3)【思考】「自分の頭で深く考える力」

のうち、(1)【感情】「やる気をコントロールする力」について、お伝えしたいと思います。

 目標へ続く道は、必ずしも見通しがよいとはかぎりません。ときには「壁」が立ちはだかることがあります。「伸び悩みの壁」です。
「毎日勉強をしているのに、成績が伸びない」「繰り返し勉強しているのに、テストの結果が出ない」……。

 結果が出ないことへの「焦り」や「苛立ち」が難壁となって、多くの人の「やる気を奪おう」とするのです。
 勉強中の人は、ここで自分の中の【感情】である「やる気をコントロールする力」を試されます。

「壁を乗り越えるか」、それとも、「あきらめるか」……

 多くの人が、壁の前で進みあぐねます。「これだけ勉強しても結果が出ないのだから、そもそも自分は勉強ができないんだ」と悲観して、歩みを止めてしまいます。
 でも、「壁に当たる(失敗する)というのは伸びている証拠」なのです。「この壁を越えた先に、大きな結果が待っている」としたら、あなたは、それでも歩みを止めるでしょうか?

「伸び悩みの壁」が立ちはだかったときに心が折れてしまうのは、「勉強の2次曲線(成長の2次曲線)」を理解していないからです。

 新しいことに取り組んだとき、その成果は、すぐにはあらわれません。

停滞状態(=それほど成績が上がらない時期)が続き、ある時期を経てから、急激に上昇するカーブである「勉強の2次曲線(=2次曲線のように、急に成績がよくなる時期)」を描きます

 つまり、成績がよくなる前には、ほぼ必ずと言っていいほど、「勉強をしているのに、なかなか結果が出ない時期」があるのです。

 この「勉強の2次曲線」を、あらかじめ知っておけば、それほど焦ることもないでしょう。

 たとえば、「語学学校」に通う人の中には、「最初の2〜3ヵ月は、ほとんど上達を感じない」という人が多いそうです。
「結果は後から、しり上がりに出る」ことを、あらかじめわかっている人は、上達を感じられなくても、勉強を継続することができます。「続けること」の大切さがわかっているからです。

 でも、そうでない人は、この時期にあきらめて、やめてしまいます。「いつまでも停滞が続くかもしれない…」「勉強するだけ無駄なのかもしれない…」と思い込んでしまうからです。