先日、サッポロビールの製造する「極ZERO(ゴクゼロ)」が、「第3のビール」としての低い税率が適用されないということから、100億円を超える差額の税金を国に納付することになったと報道された。背景には、「同じものには同じ課税を」という課税原則に立つ税制当局と、「安い『ビール』を消費者に提供したい」という業界の、「ビール類」の税金をめぐる戦いの歴史がある。それを避けるためには、税収を変えないで分類を簡素に見直すことが必要だ。

少なくなった
「とりあえずビール」

 若者と飲み会に行くと、「とりあえずビール」というスタイルが崩壊していることに気がつく。みんな思い思いのお酒(いろんな種類のチューハイが多い)を頼むので、乾杯までに時間がかかってしまう。ビールを飲まない理由を聞くと、「ビールは苦いのでおいしくない」という声が多い。

 自ら振り返ってみても、初めて飲んだビールは確かに苦い。これを何度も飲んでいくうちに、「これこそ男の味」と実感する瞬間が来る(ビール好きの女性ごめんなさい)。それ以降は、とりあえずビール、次もビール、ということになってしまうのであるが、今の若者にはこのプロセスがない。

 若者のビール離れはなぜ生じたのだろうか。単なる嗜好の変化なのだろうか。それもあるだろうが、ビール会社と税制当局との税金を巡る死闘が、結果的にビールの味を落としてしまったのではないか、これが私の勝手な勘繰りである。

税務当局vs民の技術進歩
なぜ「ビール類」の税制は複雑か

 現行酒税法のビール類の税率は以下の表のとおりである。

 まず、ビールと発泡酒の区別は麦芽比率で定められている。麦芽比率67%以上がビール、67%未満が発泡酒で、現実に販売されている発泡酒は税率の一段と低い麦芽比率25%未満のものである。