「伝達力」とは、
相手が理解しやすいように伝える力
【6つの脳力】の「(3)伝達力」は「要約力」とセットで必要となってくる力です。
「要約力」は、相手が何を伝えたいのかを読解する力、つまり「インプットのための脳力」です。
一方の「伝達力」とは、相手が理解しやすいように書いたり、話したりする「アウトプットのための脳力」です。
「伝達力」は、「要約力」の「逆」と考えてください。「要約力」は、相手の話や文章の中から「(1)問題意識」「(2)結論」「(3)理由づけ」を読み解くもので、その「逆」ということは、こちらから、文章や会話を発信するときに、
(1)「問題意識」…何を問題にしているのか
(2)「結論」………何が言いたいのか
(3)「理由づけ」…なぜ、そのように言えるのか
の「3つの要素」を入れて伝えればいいわけです。「3つの要素」を文章としてあらわすことができれば、逆に、相手は要約する手間がなくなるわけです。
次の例文は、僭越ながら、私のブログです。私は文章を書くとき、「(1)問題意識」「(2)結論」「(3)理由づけ」の3つを盛り込むように心がけています。
下記「ブログの文章」――――――――――――――――――――――
法律の条文は、とてもわかりにくい。
その理由のひとつは、一文が長いうえに、カッコが多すぎることにあります。たとえば、著作権法119条の条文は、こんな感じです。
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
これで、一文です。カッコが、やたらと多いですよね。しかも、カッコの中に、また、別のカッコが…。こんな条文は、まず、カッコを全部、取り払って、読んでみましょう。カッコを全部、取り払うと、
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
これで、かなり、スッキリしました。
・一文は短く。
・カッコの多用は避ける。
これが、わかりやすい文章を書く「秘訣」のひとつです。
【ブログの文章】ここまで―――――――――――――――――――――――
このブログの文章は、「伝達力」を意識して書いてありますので、次のような構造になっています。
(1)「問題意識」…法律の条文は、とてもわかりにくい
(2)「結論」………一文を短くして、カッコを外せば、わかりやすくなる
(3)「理由づけ」…実際に、条文がわかりやすくなる例を出して説明
……という構造です。はじめに問題提起をして、すぐに結論を述べ、結論へと導く理由づけや根拠を挙げる、という流れです。このように「3つの要素」を入れていくと、読みやすい文章をつくることができます。