前回の本コラム(消費落ち込みは「想定内」!? 想定数字の説明なき政府の楽観)で、政府は消費税による消費の落ち込みに楽観的すぎるのではないかと書いた。6月27日に総務省から公表された家計調査の数字があまりに悪かったからだ。
景気指標はトリプル悪化
その原稿を書いたすぐ後に、7月10日内閣府から機械受注の数字も公表されたが、それも悪かった。実は、6月30日に建設省から公表された住宅着工統計の数字も悪かった。
民間消費が悪くて、民間企業投資も民間住宅投資も悪いと、民間経済は悪くなるに決まっている。どのくらい悪いかといえば、過去2回の消費税増税の前後1年で比べてみよう。
マスコミ報道でしばしば利用される前月比という数字ではなく、対前年同月比でみてみよう。というのは、前月比だけみていると、直前から上昇していても、景気がいいとは限らないからだ。「~について、2ヵ月間上昇し、緩やかな回復基調が続いており、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動減の影響も薄れつつある」という報道が最近多い。だが、増税後の4月に大きく落ち込み、その後、「2ヵ月上昇」したが、前の水準まで戻っていない。この「前の水準に戻っていない」という点がマスコミ報道に欠落している。
せっかくだから、家計調査も加え、機械受注、住宅着工統計の今回の増税前後を、1989年増税と1997年増税と比較してみたのが、以下の図1だ。