修羅場に立ち向かう3つのヒント

 さまざまなトレーニングを積んだとしても、実際の厳しい議論の最中には頭が混乱し、動揺して不適切な干渉をしてしまうものです。その場しのぎの対応をしそうになったり、動揺している自分に気づいた時に、すぐに使える方法を紹介しましょう。

1.名前をつけて意識する
 身体に意識を向けると、普段とは違った信号を感じることがあります。それは感情スイッチが入ったサインかもしれません。その時「あっ、いま、感情スイッチが入った」と意識して言語化してみると、すばやくそれに気づき適切な対応をとることができます。

「名前をつけると飼い慣らすことができる」と言われるように、命名すると納得感や余裕が生まれてくるから不思議です。すると、落ち着いて冷静に自分の感情を取り扱うことができるようになります。

2.「一旦停止」で自分を取り戻す
 感情の渦に巻き込まれ、自分を見失いそうになった時、自分を取り戻そうと躍起になってもあまり効果はありません。そんな時は、「一旦停止」と自分に言い聞かせ、立ち止まってみましょう。何もせず、自分の状態をじっくり観察し、そこにあるエネルギーを認め、ただ感じるのです。それは、1秒のこともあれば、数分必要なこともあるでしょう。

 一旦停止するというのは、交差点に立ち、左右どちらに進むか判断するようなものです。立ち止まって、身体と感情、思考のバランスを意識すると、心のおしゃべりが消え、前向きで生産的な状態へとシフトする余裕が生まれます。

3.リフレーミング――違う角度で見てみよう
 リフレーミングとは、枠組みを変えること。見方次第で、ものの認識が変わるという意味です。

 例えば、激しい議論の場面に遭遇し、いつもは「これだけ意見が違えば、合意するなんて絶対無理だ」と考えがちの人も、リフレーミングをすると、こんな考え方を手に入れることができます。

言いにくいことを率直に言えるなんてすばらしい。これで、解決策の選択の幅が広がったぞ

 リフレーミングを意識的に行なうと、自分のかけている「メガネ」に気づくようになります。そして、困難な状況を自分の成長の機会に変え、選択の幅を広げることができるようになります。

 いかがでしたでしょうか。これまで、3回にわたってプロフェッショナル・ファシリテーターとしてのマインドの鍛え方を紹介してきました。どんな修羅場も切り抜ける6つの流儀とそのトレーニング法。最後までお読みいただき、ありがとうございます。なかには当たり前のことばかりで、拍子抜けされた方がいるかもしれません。しかし、その当たり前がなかなかできないのが、私たちなのです。

 組織はますます多様性を増して変化し、問題も複雑になっています。ファシリテーターやリーダーに求められる役割や期待はさらに大きくなっています。

 会議や話し合いにつきものの「炎」をうまく取り扱う6つの流儀を身につけ、プロフェッショナル・ファシリテーターとして活躍する人が増えることを願ってやみません。


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