「50万~60万円かかると言われました。それも、前半はビジネスマナーやコミュニケーションマナー、後半は団体が運営している飲食店でホールスタッフとして働く。給料のことを聞くと、無給だと言われ『働かせて頂いてるんだから、受け取ろうとするほうが間違っている』と説教されました。なぜ当事者が、働く場をお金で買わなければいけないのでしょうか」

 Aさんが説明を受けたのは、“体験”の名の下、飲食店という職場で無給どころか有料で働かされる“ブラック以下”の実態だった。

 Aさんが施設長に疑問をぶつけると「基本がなっていないのに理想が高いだけではうまくいかないよ」「あなたがやりたいんなら、どうぞハローワークへ行って、勝手に仕事探してください」と、啖呵を切られたという。

 以来、Aさんはサポステをやめた。

労基署担当者がサポステの存在も知らない?
Aさんの通ったサポステ、労基署の言い訳

 後日、労基署に確認すると、「信じられない話だ」と驚きを隠さなかった。

 そのうえで「時間拘束や指揮命令などの労働者性があれば、一般的には労働と考えられる」と指摘。労基法違反にあたる可能性も示唆されたが、驚いたことに労基署の担当者は、同じ省内の事業であるサポステのことをまったく知らなかった。

 労基署から情報提供を求められたため、Aさんと相談していると、その担当者から再び電話があって、こう言われた。

「あそこ(サポステ)は特殊な人が行くところ。(利用者に対しては)ぜひハローワークで相談されるよう、お勧めします」

 筆者はAさんと一緒に、このサポステを訪ねた。

 対応した施設長は「厚労省への取材申請が必要だから」との理由で、筆者ら記者への説明を拒んだ。筆者がその場で厚労省に電話で確認すると、担当者がこう説明した。

「間違った情報を出さないでほしいという趣旨でお触れを出した。取材の制限はしていない。問題ないです」

 とりあえず施設長は、Aさんの抗議に個別に対応。その後、施設長は筆者らに向かって、こう話した。