「Aさんに嫌な思いをさせてしまったことについては、力が及ばなかったと申し訳なく思っています。(団体の)自主事業で専門の人たちも入るので、費用はどうしてもかかってしまう。引きこもりの人たちの特性は知っているつもりだが、利用者に合っていたのかどうかとか、立場的には言われるままになってしまうので、本人の気持ちを汲んであげないといけない。そこにつなげるための入り口がサポステなのではないか。そう思われるのは嫌だと私たちも思っているのですけど。つい先走ってサポステ利用者の勧誘と受け取られる接し方をしたのかもしれない」

 そして、Aさんの求めに応じて、個人情報も一部を返却。残りの情報を彼女の目の前でシュレッダーにかけた。

「切り捨て」「たらい回し」の声も
先入観ではねつける国の支援事業に疑問

 Aさん以外にも、別のサポステの利用者から「通院歴や薬の有無などの個人情報を聞き出されたあげく、あなたは病気だから、ここではないと追い払われた」「対象にしているのは、社会復帰の可能性のある健全なひきこもり層だと言われた」など、就労につながりやすい人を「選別している」との情報提供が後を絶たない。救済を必要とする深刻な層や40歳以上の相談者に対し、「切り捨て」や「たらい回し」が行われているとの批判もある。

 厚労省によると、昨年度のサポステの「新規登録者数」は4万3229人。「のべ来所者数」は63万9083人だった。

 年度内の「進路決定者数」は1万9702人。そのうち、「就職」は1万6416人としている。

 ただ、その内訳を聞くと、バイトも含めた「非正規」が1万2382人で、約75%を占める。「就職」と表記しているが、実態は「就労」だ。

 追跡調査の有無を聞くと、今年度から各サポステで始めたという。

 昨秋の行政事業レビューで「有効とは言い難い」と一旦、ゼロ査定の評価を受けた影響もあるのだろう。しかし、実際に利用している当事者にとって大事な評価軸は、「就職」数ではなく、「のべ来所者数」のほうではないのか。

 では、サポステ事業者が運営している飲食店の無償就労を斡旋し、利用者からお金を徴収して働かせている行為について、厚労省も容認されているのか。倫理的にどうなのかと尋ねると、こう返事が来た。

「ご指摘の事案については引き続き事実確認を行うこととしていますが、いずれにしても各サポステにおいて、職場体験がその趣旨・目的に沿って適正に行われるよう今後も指導を行ってまいります」

 また、サポステでの利用者の選別等については、

「ご指摘の“就労の遠そうな『ひきこもり層』は引き受けるな”との指示を出した事実はありません」

 としたうえで、行政事業レビューの指摘を受け、今年度より、自治体が「単独で措置する事業によって、国が措置する事項と同じ支援が受けられる者」「生活困窮者自立促進支援モデル事業によって、サポステと重複する支援が受けられる者」に該当する場合については、支援の対象者としないことを要領に明記。他の支援機関でサポステと同様の支援が受けられる者については、当該支援機関へ誘導するよう指示しているという。