マリウポリ市内に作られた検問所 Photo by Konstantin Chernichkin

 ウクライナ情勢に関するDOL特別レポートで、首都のキエフから何度も情報を提供してくれたテトヤナ・オリニックさんもSMS募金を実際に行った1人だが、「こんな状態に追い込まれても、政府内の官僚主義によって、集められた寄付金が具体的に使われないままでいるのです。役人に愛想をつかした市民は、ボランティア組織を立ち上げて、集めた装備品などを軍の部隊に直接渡すようになりました」と憤る。

 アメリカのオバマ政権はウクライナに総額5200万ドルの緊急支援を行う用意があると伝え、すでに防弾チョッキや無線機器なども提供も始まっているが、ワシントンの連邦議会では民主・共和両党の有力議員がオバマ政権の対応を激しく批判。ウクライナに武器を供与すべきとの声が高まっている。弱腰と揶揄されるオバマ政権の外交力だが、アメリカからの武器供与は近い将来あるのだろうか。

英語チャンネルも開局
ウクライナ視点で戦争報道がスタート

 8月24日、ウクライナ各地では多くの市民がそれぞれの町で独立記念日を祝い、首都のキエフでは5年ぶりに軍事パレードも行われた。ウクライナ東部における戦況が悪化するなかで、5年ぶりに行われた軍事パレードは市民や兵士の士気を高めるのに一定の役割を果たしたようにも思える。

 キエフ市内で兵士の行進を実際に見たウクライナ人男性は、「パレードを見て、まだあきらめてはいけないという気持ちになった。しかし、パレードに参加した兵士の多くがこれから東部に送られると聞いて、彼らが無事に戻って来られるのかを心配している」と、複雑な胸中を明かしている。

大型車両の前に立つ兵士。マリウポリ市内ではこのような検問所が今も増設されている Photo by Konstantin Chernichkin

 8月24日のキエフではもう1つ大きなニュースがあった。英語ニュースチャンネル「ウクライナ・トゥデイ」がスタートし、24時間体制でウクライナ国内のニュースを国外に向けて発信し始めたのだ。

 ロシアは2005年から「ロシア・トゥディ」という外国語ニュースチャンネルを開局しており、アメリカでもケーブルテレビで視聴可能だが、これまでウクライナには国外に向けて情報を発信する外国語放送がほとんどなく、民間テレビ局の出資によってウクライナ初となる外国語ニュースチャンネルがようやく誕生した。

 ウクライナ・トゥデイのエグゼクティブ・プロデューサーに就任したテトヤナ・プシュノバさんが、外国語放送の重要性について語ってくれた。

「一刻も早く英語のニュースチャンネルをスタートさせる必要があったため、ウェブサイトが完成しない状態で、放送を開始しました。開局から最初の一週間で、約50万人の視聴者を獲得し、一日当たりの視聴者数は日ごとに増加しています。ウクライナ人によるニュースの視点を、国外の視聴者に知ってもらうことが、当面の目標です」