マーケティングを知らずして
人材戦略・育成は語れない
会社の人材育成を担う読者の皆様は「ビジネストレンドの変化」から、「時代の変化」を読み、そこから「求められるスキルの変化」を他の誰よりも敏感に感じ取っておかなくてはならない大変な立場にある。そこで、本連載では、毎回人材育成の責任者・担当者の皆様がこれから注目しておくとよいビジネストレンドを紹介し、それを理解するためのお薦め文献を紹介していく。
筆者は、データバンクという、多くのビジネス情報ニーズが日々大量に集まってくる職場に勤め、長きにわたり、ビジネストレンドの変化を目の当たりにしてきた。その知識と20年以上続けた1日1冊の読書を皆様のお役に立てていただければ嬉しい限りである。
さて、記念すべき第1回目のテーマは「マーケティング」だ。日本能率協会が毎年実施している「経営課題調査※」によると、事業構造改革の戦略対象として、「販売・マーケティング戦略」が断然高い数値を示しており、各企業が重視していることが伺える(この調査はご覧になることをお勧めする)。「マーケティングが重要だ」というのは日本企業の共通認識だが、一方で、「マーケティング」とは何かを明確に理解できている人がどれくらいいるだろうか。曖昧に解釈されているケースが多いように思う。
だが、好業績の企業や社員が生き生きと活躍している企業には全て、「マーケティング戦略の成功」と「マーケティング理念の浸透」がある。「マーケティング」は、業種・分野を問わず、企業の意思決定にかかわる非常に重要なビジネススキルであり、ビジネスパーソンにとって、「よく知らない」では済まされない。
さらに、人材戦略・人づくりも、広義で捉えればマーケティングの一環といえ、「マーケティング」を知らずして、育成を語ることはできない。
それでは、どうやってマーケティングを理解すればいいのか。ここでは、新しい文献からピックアップしておいた。書籍の他、マーケティングをうまく展開していると思われる企業の経営者が執筆した文献やインタビュー記事もぜひ読んでおくといい。
繰り返しになるが、「マーケティング」の成否は企業活動の成否につながることは明白。だからこそ、関心のある方も、正直あまりなかった方も絶対に学んだほうが良い。楽しくも厳しい? 華やかだけど泥臭い? マーケティングの世界へようこそ!
※日本能率協会「第34回当面する企業経営課題に関する調査」(2012/11)
http://www.jma.or.jp/keikakusin/survey/