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「3Dプリンタ」と「金型」は“敵同士”ではない!
――業界コンサルタント、トッド・グリム氏に聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第44回】 2014年9月12日
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種類の異なる素材を
境目なく造形できる

――3Dプリンタの「デジタルマテリアル(材料を混合しながら造形する技術)」について、大きな可能性があるとコメントしているが、なぜか。

グリム デジタルマテリアルは、開発・製造過程に大きなインパクトがあると考えている。先ほど「革命ではない」と話したが、この技術に関してはある意味「革命的」と言えるかもしれない。製造業の概念を根本から変える可能性がある。

――材料の組成を変化させながらのモノづくりは、製品の設計思想にも影響を与えると考えられないか?

グリム もちろん、その可能性はある。例えばここにあるペンは、ラバー、金属、プラスチックの部品がバラバラに作られ、それらが組み立てられている。しかし、デジタルマテリアルであれば、素材をなめらかに変化させながら「1つの部品」として造形することができるため、組み立てる工数を省くことができる。この考えを応用すれば、将来的にはモノづくりの考え方を大きく変えることができるだろう。

3Dプリンタが金型を駆逐?
私が現役のうちには、ありえない

――ところで、日本は金型技術は優れているとされてきたが、3Dプリンタによる製造では金型が不要になり、金型業界にとって脅威になるとも言われる。日本がとるべき道は?

グリム 確かに、いつか脅威になる日は来るだろう。しかしそれは、はるかに遠い将来の話だ。少なくとも、私が3Dプリンタ業界の専門家として働いているうちには、そのようなことは起きないと断言できる。つまり、いまは脅威などと考えてはいない。

 むしろ、現在の金型による大量生産モデルについて、3Dプリンティングは金型の製作そのものをサポートし、進化・発展させる技術として大いに有望だ。

――3Dプリンタが金型製作をサポートする?

グリム ここは誤解している人も多いようだから、強調しておきたい。たとえば、金型自体を冷やすために、金型の金属内部に水が通る穴を三次元状に設置した構造(コンフォーマルクーリング)は、3Dプリンタでしか作ることができない。金型が速く冷えれば、製造時間を大幅に短縮することができる。従来できなかったことが、3Dプリンタで可能になる好例だ。

 もちろんこうした用途以外にも、3Dプリントの実用度が高まり、製品化の事例も広がっているが、試作や少量多品種の製造は3Dプリンタで、大量生産は金型で行うという棲み分けは、当面揺るぎようがない。両者の長所を組み合わせて、製造業はさらに進化すると考えている。

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