このAJISの最終学年を担当したBulocuk先生は、自身のクラスの初日、アメリカの大学願書を生徒に宿題として渡し、一晩で書いてくるよう指示した。この時点では、願書が書ける、すなわち自分のやりたいことがわかる生徒の割合はそうでない生徒と半々くらいだという。わかる生徒にとっては自分のモチベーションの素を再確認する作業になるし、すぐにわからない生徒にとっては、考えるきっかけとなる。まず自分の立ち位置を自覚することで、何をすればいいのかがわかり、そこからモチベーションが生まれるのだ。指導に携わったBullock先生は次のように語る。

「生徒は“自分は何もので、どんな長所と短所があり、それを踏まえ将来なにがしたいのだろうか”という疑問に向き合うことで、卒業までに考えなければいけないことを細分化することができます。向き合うことで、そもそもやりたいことを明確にする必要があるのか、それともやりたいことはわかっているけれども学力が足りないのか、などの課題がわかるし、一度わかればひとつずつクリアしていけば良いのです。(高校生の段階では)まだ最終決断はせずとも、考え始めるのは早ければ早いほどいい。目的意識をもち、その方向性に自信が持てるととても強い原動力=モチベーションになるからです」

ビジネスパーソンが
もっとも学ぶべき「個の確立」

 ここまでインターナショナルスクールが行う「育成」について紹介してきたが、これは単に学校教育の現場でのみ注目されるべきケーススタディではない。本連載のタイトルにある通り、ビジネスパーソンのキャリア形成においても非常に重要な要素が含まれている。自分自身を成長させるため、部下を引き上げるため、日々変わり続ける新たな局面に対応していくため。常に立ち返るべきは自分や相手「自身」だ。

 全5回の連載の中で、インターナショナルスクールを題材に、いくつかのスキルを紹介してきた。そこからお伝えできることは、次から次に量産される「○○人材」という目的なき幻想に振り回されるのではなく、何のために、何を生み出していくのかを問い続けていること=探求し続けているかどうかが20年後も生き抜いていられるかどうかの条件だということだ。自立した個人と個人の関係性がベースにあって初めて、伝えることも受け容れることも、そのツールとしての英語も、さらにはキャリアを考えることも意味を成すのだから。

※今回で連載は最終回となります。全5回、ご覧くださりありがとうございました。