行政からの一方的な押し付け感が強い措置制度を改め、利用者とサービス提供者との対等な関係の確立を目指した。

 事業者についても「幅広い要望に応える多様な主体の参入促進」を基本的な方向とし、企業への門戸を開いた。だが、最終的な原案作成では「社会福祉法人は引き続き社会福祉事業推進の中心的役割を担ってもらう」と後退し、特養など入所施設の第一種事業の運営は社福に限定されてしまう。競争を持ち込む市場原理の導入が既存事業者や同調する識者、そして何よりも厚労省の圧力で消えてしまう。

 措置制度から利用制度への転換は、2000年からスタートした介護保険制度に組み込まれたが、特養を主要事業とする多くの社福は、自治体からの委託費が介護報酬に名目上変わったという認識しか持たなかった。「利用者でなく、自治体の顔色を見ながら日々の運営をこなす姿勢に何の変化もなった」と、大半の社福法人の理事長は本音を明かす。

 待機者が目の前に列を成す状態に変わりなく、一般市場では想定できない「サービス競争」が全くないままだ。

 もう一回、脱皮の時期があった。1990年代末の特定非営利活動促進法(NPO法)の制定時である。

 同法の第1条では「公益の増進に寄与することを目的」とし、第2条で20の活動分野を示してその筆頭に「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」とある。一方で、社会福祉法第1条には「社会福祉の増進に資することを目的とする」とされ、共に「福祉の増進」を掲げていることに変わりない。

 つまり、社会福祉法はNPO法の中に包摂される可能性が高い。非営利を掲げて、福祉の増進に取り組む立場であることに両者の差異はない。社福法人がNPO法人に移行すれば、納税問題を始め様々の特異な状態は一気に見直される。

 何よりも海外の事情を見渡せば、国や自治体の行政、企業と並ぶ第三の社会的な活動主体は広い意味でのNPO法人だけだ。社福のような「異形」の法人はない。

 福祉先進国の北欧では、高齢者ケアにこうしたNPOや企業の参入が増えている。公設民営で日本の指定管理者制度に近い形態が多い。

 また、「公金の投入禁止」を謳う憲法89条についても、「介護保険制度は慈善、博愛でなくサービス事業」との見解が定着しており抵触しない。東京都ではグループホームなどの企業事業者にも補助金を既に投入しており、社福ならではの存在意義はなくなっている。

 こうして見てくると、時代の流れに追いつかない社福法人の姿が露わとなる。欧州での福祉事業を参照しながら、社福はNPO法人へ収斂や法人の廃絶を含めた検討をすべき時を迎えたようだ。