この話が現実化するかは、現時点では何とも言えませんが、少なくとも森林を“資源”として捉え、経済的概念やビジネスの要素を織り込むだけでも、この話のように、これまで見えなかった可能性が見えて来ませんか? 地方でこうした仕組みをコーディネイト出来るのは、地方銀行の他には考えらないと思います。また、それぞれの地方銀行がこうした課題を持ち寄ることで、この話のような連携を現実化出来るのだと思うのです。

“森林”でビジネスマッチング!?
地銀だからこそ出来ること

 私は“森林”という“共通言語”の下に集まった地方銀行の連携が、将来的にバイオテクノロジーの応用や、新技術の開発などのビジネス・マッチングにまで発展することを期待しています。

 その為には、この会の参加者が、CSR部門や広報部門だけでなく、経営企画や営業部門、更にはM&Aなどの企業提携部門にまで広がっていく必要があると思います。

 そもそも、“環境”という言葉は、「自分を取り巻く円環を想定して、その周辺や外側を指す」というのが語源であると言います(*3)。このことを聞くと、“森林”という円環が、少しずつ外側へ外側へと広がっていくイメージが想像出来ませんか? “森林”という中心は、地域をつなぐ“共通言語“として同じだとしても、自然環境や、文化を含む風土は、それぞれ地域ごとに特徴があると思います。

 また、地域ごとに産業クラスターが形成されていることからもわかるように、地域ごとに偏在するケイパビリティも違います。ですから、より多くの地域(地方銀行)が連携することは、ビジネスの円環が広がるとともに、それぞれの地域の得意分野を持ち寄ることで、ビジネスの芽をともに育むことにも繋がるのだと思います。

 前回紹介した株式会社エコトワザは、日本の匠のエコな技(技術)を海外に紹介するマッチングビジネスの“中間支援型企業”でした。でも、考えてみると、地方銀行は、そもそも地域経済活性化の“中間支援型企業”とも言えますよね。金融危機の今だからこそ、あらためて地方銀行のそういった機能に期待したいところです。

 グローバル経済は、唯一の大国となったアメリカを中心とした、いわば一極集中型の経済構造でした。今、日本経済が疲弊しているのは、グローバル化に対応しようとするがために、中長期的に物事を考えるという「日本の良さ」を見失ってしまった結果かも知れません。

 実は、同じことは日本国内でも起こっています。それは、東京への一極集中化が進んだ結果として、「地方の持ち味」が封印され、地方経済が疲弊していることです。

 こんな今だからこそ、中長期的なスパンで“森林”という地方に偏在するリソース(地方の持ち味)をテーマに地方銀行同士が連携すれば、新たなイノベーションを創造していくことだって可能になるはずです。

 個々の地方銀行だけでは、規模の面でメガバンクには適わないと思います。でも、EUのように地方銀行同士が連携し、それぞれの地域の持ち味を発揮し、協力する体制を築いていく、そんなプラットホームにこの「日本の森を守る地方銀行有志の会」がなれれば、地方から日本は元気になっていくと思うのです。

(*1)社団法人京都モデルフォレスト協会
(*2)森林を守ろう!山陰ネットワーク会議
(*3)「環境 訳語の妙意」興膳宏、日本経済新聞2005.12.18朝刊40面より

【参考文献】
『自然エネルギー市場 新しいエネルギー社会の姿』
飯田哲也 [編](築地書館、2005年)

環境フロンティア2009