アップルの音楽ダウンロードサービスの「iTunes music」が、2014年初頭から13%も売上を落としたことが話題になっている。同サービスは昨年2.1%減少し、すでに下降気味だったが、今年になってこれだけ顕著に減るとは想像以上だったようだ。

 iTunesのサービスが始まったのは2001年1月。もう13年以上前のことだが、同年秋に発売されたポータブルミュジーックプレーヤーのiPodの斬新さと相まって、これがアップルの革新的イノベーションの始まりとなった。デバイスとインターネットとコンテンツを結びつけ、さらに1曲買いを可能にして、音楽業界全体を揺るがすほどのインパクトを持っていたからだ。

 アップルと音楽とは、そうした背景もあって分ち難い関係なのに、肝心のiTunes musicが下降していることは、否応にも時代の変遷を思わせる。実は、iTunes musicの売上は、2010年頃から伸び悩んでいた。2012年半ば頃から、iTunesサービスでの売上の最大のものは、音楽ではなくアプリになっていたほどだ。

「パンドラ」「スポティファイ」など
ストリーミングサービスに押される

失速するiTunesミュージック <br />焦るアップルの過剰マーケティングに<br />U2のボノもあきれる「スポティファイ」のWebサイト

 iTunes musicのようなダウンロード型サービスに取って代わっているのは、もちろんストリーミングサービスである。アメリカではスポティファイやパンドラというサービスがよく知られており、世界中では50近いサービスがある。現在音楽業界の売上の3分の1近くはストリーミングサービスによるもので、利用も1年前から50%近くも増加しているという。

 ダウンロード型とストリーミング型のサービスの違いは、まず楽曲を所有するかしないかだ。ダウンロードなら、自分のコレクションとして楽曲を貯め、好きな順番で聴いたり、さまざまなデバイスで家族とシェアして利用したりすることが可能。

 一方ストリーミングは、楽曲を所有せず聴くために利用するサービス。無料と有料のサービスに分かれているのが一般的で、無料サービスでは時折広告が入る。有料サービスでは、モバイルからデスクトップまで利用できるデバイスが多くなることも特徴だ。ラジオ風にランダムに聴くこともできれば、ジャンルを選んで設定したり、あるいは好きな曲で自分のプレイリストも作ったりできる。その点は、所有しない楽曲でも、ダウンロード型とほぼ同じように操作できるのだ。