深刻な低学力と貧困の問題 
栄養教諭の存在と役割

 実態はどうなのでしょうか。「中学校では授業で食育を実践することは授業時数の関係で困難。意識を高める程度しかできないので家庭教育が基本」(公立中学・杉並区)、「家庭科の時数を以前の1・2年1コマ、3年1.5(現在0.5)コマに戻してもらえれば、実践的な食育が有効にできる」(公立中学・多摩)というように、学校のカリキュラムが食育を阻害している現状へのいら立ちが伝わってきます。

 食育における学校の重要性をさらに問うと、意見にばらつきが出てきました。

 私立よりも公立の中高の方が重要性を感じている度合いが強く、特に低学力と貧困の問題には深刻なものを感じました。

「食べ盛りの中学生(特に男子)が給食を残すのを見るたびに残念でなりません。偏食が激しい。なかなか時間がもらえず、どこで食育をしていけばよいか思案中」(公立中学・葛飾区)

「夕方の給食も実施しているが、希望者が少ない。500円あればスナック菓子でお腹は満たされ自由に使えるお金も余る」、「給食における食育指導は生徒の命を守る生命線。定時制では経済的に困窮する家庭から通う生徒が多く、給食に対する経済的な支援が必要と考えている」(いずれも公立高校)。

 食育には家庭・学校・社会がそれぞれ関与しているとはいえ、中高生では学校と家庭の特に重要となります。学校における食育への取り組みについては、栄養教諭の活用度が1つの目安になると思います。学校の現場では、職員と教員では役割も分けられており、どの立場の人が担うかによって、現場での取り組み方にも違いが出てしまいます。

 一般の保護者には聞きなれない栄養教諭は、食に関する指導と学校給食の管理を行う教員です。

 今回アンケートにご回答をいただいた学校で見る限りでは、栄養教諭は給食の管理に手を奪われ、食に関する指導という、より大きな課題にはあまり携わっていないように思えます。

 文部科学省の調査結果(13年4月現在の推計値)によれば、東京都は栄養教諭の配置率が全国最低(4・1%)で、最高だった鹿児島県とは実に20倍以上の開きがありました。この専門職の配置は地方自治体に任されており、都の場合、採用基準に極端に長い経験年数を入れているため、条件に合う職員が限られている、という実情もあるようです。