嫌なことがあって落ち込んでいる時でも、誰かに優しい言葉や激励の言葉をかけてもらうだけで、パッと明るい気持ちになり、やる気も出てくる。
人は、言葉1つでやる気を出したり、やる気を失ったりする存在なのです。

 だからこそ人事は、やる気を失っている人、あるいは何かに不満を抱いている人のところに行き、言葉でやる気を起こさせる、いわば“言葉の魔術師”になる必要があります。 

人のプロが
組織の生産性を上げる

 社員のやる気を出させることは、マネージャーの仕事だという意見もあるでしょう。

 確かに、そうできるマネージャーが多いほうがいいのですが、なかには、仕事はできても人の意欲を引き出すことが苦手なマネージャーもいます。

 ですから人事が、“人のプロ”として、その役割を担うのです。

 例えば、夫婦喧嘩をして元気が無い人を元気づけるのも、仕事のひとつです。
「夫婦喧嘩なんて個人の問題なのだから、関与すべきではない」と思われるかもしれません。しかし、それが原因で仕事のパフォーマンスが下がれば会社の損失になるわけですから、やはり放っておいてはいけないのです。

 活力のある人たちが増えれば、組織の生産性は高くなります。

 かつて私が在籍したGEでは、1人当たりの生産性が一般的な企業の2倍でした。つまり、簡単に言うと、1人当たりの売り上げが2倍あるということです。

 製造業は、人件費比率がだいたい15%前後ですが、生産性が2倍になれば、人件費比率は、7~8%になります。それができれば、必ず競争に勝てる組織になれるのです。LIXILでは、製造ラインなどは別にして、3倍の生産性をめざしています。

 繰り返すようですが、人間ほど、飛躍的に生産性が向上できる経営資源は他にはありません。機械の機能を向上させても、生産性が一気に5倍、10倍となることはありません。しかし、人間がやる気になれば、それも不可能ではないのです。

 しかも、生産性を上げるのに、費用もかかりません。会社の方向性などがわかっていない社員に、丁寧でわくわくするような説明をしたり、元気のない社員に「どうしたの?」と声をかけるだけでいいわけですから、これをやらない手はないでしょう(笑)。

 現在、LIXILの人事スタッフの数は約200人で、全従業員数に占める割合は10%ほどです。多いと思う人もいるかもしれませんが、それぞれのメンバーが、誰かをやる気にさせ、10%ずつ生産性をアップさせることができれば、10人分の働きを生み出したことになります。

 その分、組織の生産性を向上させることができるのです。