日本料理の美しさにも通ずる
ろくろが生み出す白い木肌の簡素さ

 おおまかな形に整形された木は工房の天井に近い場所でゆっくりと乾燥させる。

「この段階でだいたい10%くらいまで水分をゆっくりと減らし、それから乾燥機でさらに水分を飛ばしていきます。一気に乾燥させると割れたり狂ったりするんで」

外国人を“アート”“魔法”だと驚かせた<br />紙のように薄い「木のコップ」を生み出す日本の職人皿もろくろで回して表面を削る。この皿はサラダやパンを盛るととても映えるので、個人的にも愛用している。使い込むほどに愛着がわく皿だ。つくる現場を見ることができて良かった

 充分に乾燥した木をろくろ(旋盤)にかけて削っていく。厚みのある木がみるみるうちにグラスの形になっていく。手先だけでコントロールするのではなく、上半身全体を使い切削刃を安定させているのが、よく見るとわかる。そして、紙やすりで表面を整え、口にあたる部分を滑らかにする。

「旭川は旋盤が横向きなのが特徴。使う道具も非常に少なくて、例えば父なんかは3本とかで全部こなしてしまうという感じ。回転も非常に早くて、これは家具の部品単価が安かったから、早く多くのものをこなすためにこうなったと聞いてます」

──数をこなすことで質が上がっていったという側面も?

「それはあるかと思いますね」

──塗装も自社で?

外国人を“アート”“魔法”だと驚かせた<br />紙のように薄い「木のコップ」を生み出す日本の職人塗装が終わったkami glass。塗装を施すことで強度が増す。コーヒーからお茶、ちょっとしたスープまで何にでも使えるという質実さが人気の秘密だろう。さりげない見た目だが、高い技術で成立している

「というか特殊な製品なんで、できるところがないんですよ。旭川は家具屋さんとか別ですけど、だいたい自分のところで全部やっているところが多いです」

 ろくろで削ったものに塗装をかけて完成である。木肌の白がとても印象的だ。漆のような厚化粧ではないので、本質がより際立たつような気がする。素のままのきれいさ、簡潔さはどこか、思わず手で触れていたくなるような寿司屋の白木のカウンターや、日本料理の美点にも通じる日本的な感性だと思う。

 kami glass以外にも高橋工芸には豊富なラインナップがある。どれもいわゆる伝統工芸品のような使うことを躊躇するような製品ではなく、日用品である。

「やっとなんか木のものが普通に出回るようになってきた、という感じ。最近は木目を活かした製品がうち以外のとこからも、結構世の中に出てきている」

 高橋さんは感触をこう語る。