また、日本の新聞などでも報道されていたが、両首脳が握手をしている写真の背景には、他の首脳会談のような両国の国旗はなかった。会議の同席者についても、他国の首脳会談では何人かの政治局委員が同席したが、安倍首相との会談は楊潔国務委員だけであった。これは、首脳会談というよりも、国際会議の場を使った交流という色彩を持たせたものだと考えられる。

約10時間に及ぶ米中首脳の緊密な出会い
中国側の巧みなアプローチ

 一方、日中首脳会談の味気ない演出と対極をなしたのは、米国との関係である。APECの機会に国賓でオバマ大統領を迎え入れ、計約10時間に及ぶ首脳間の緊密な出会いを演出し、米中両国が国際社会で非常に重要な二大大国であることを世界に印象付けた。

 中国は、中間選挙で民主党が敗北し、共和党が勝利をしたという事実も踏まえた上で、米中の協調路線を示した。米国は中間選挙後の2年は急速にレームダックが進むと言われているが、外交については大統領の権限が担保されている。

 今回、歴史に名を残す大統領としてオバマ大統領が米中の合意に盛り込まれた温室効果ガスの排出削減に関する目標設置や、軍事的信頼醸成措置の導入など、平和的な取り組みに焦点を当てたとしても不思議ではない。現に、共和党は温室効果ガス排出削減について明確に反対をしており、米中関係についてもより強硬な路線をとるべきと主張をしている。

 ただ、米中関係のあり方についての双方の考え方の違いも明確となってきた。中国の言う、いわゆる「新型の大国関係」は「広大な太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」という考えに基づく。習近平国家主席は、昨年6月の首脳会談でオバマ大統領に伝えた言葉を、今回の米中首脳会談後の記者会見でも用いた。これは中国の言う核心的利益を、米国が尊重することが前提となる。