「暴力=隔離」の原則
――8歳のパンチ、15歳の「死のパンチ」……
自分の身に置き換えてみると、8歳くらいまでに暴力を一切やめさせておけば、その後の子どもの人生は非常に明るいわけです。でも、15歳まで何も手を打たずに、放置しているケースがなんと多いことか。私は臨床現場で数々の実例を目の当たりにしてきました。
子どもの「暴力・暴言・物壊し」に対して、絶対やってはいけない「3大NG行為」があります。
――絶対やってはいけない「3大NG行為」って??
これだけは絶対やってはいけない「3大NG行為」
●1 暴力に対して暴力(体罰)で返すこと。
●2 その場しのぎの解決(従属、取引)を優先すること。
●3 子どもの言った言葉にいちいちつき合うこと。
――なんですって? どうしたって子どもの言った言葉につき合っちゃいますよ。
それがダメなんです。なぜダメなのかは本書に詳しく書きました。
――そうなんですか。暴力と言えば、今年いろいろ事件が起こりました。センセイは、痛ましい「佐世保女子高生殺害事件」をどう見ますか?
2014年7月26日、佐世保女子高生殺害事件が起きてしまいました。
本書のすべての章は、この事件が起こる前にすでに書いていたものです。
――そうだったんですか。
「暴力=隔離」を実行することは、ほとんどの親や精神科医が嫌がります。
ですから、一向に状況は改善しません。残念ですが、こういう状況と世間のムードが続けば、同じ事件が次々起こるでしょう。痛ましい事件でしょうが、私はこういう事件が起きることに特別な驚きはありません。これからも繰り返されますので。
――そんな!
犯人の女子高生は、すでに小学6年時点で猫を殺して楽しかったことを周囲に告白していました。精神疾患の一つ「行為障害」と診断された可能性が高いです。
それにもかかわらず、何も手を打たない状況が続き、カウンセリングも数回程度で、様子見で終わっていました。
もちろん、いろいろな事情があるのでしょうが、この場合も、もっと早いうちに入院・入所していれば、一人の子が殺されずにすんだわけです。
加えて、この子は父親を金属バットで殴っていた歴があります。親子であろうと、この時点で完全にアウトなのです。